書評☆4 気づけばプロ並みPHP 改訂版 | Webサービスの必須要素をフルスクラッチのPHPで網羅

概要

  • 書名: 気づけばプロ並みPHP 改訂版
  • 副題: ゼロから作れる人になる!
  • 著者: 谷藤 賢一
  • 出版日: 2017-03-06
  • 読了日: 2019-12-04 Wed
  • 評価: ☆4
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/08/

評価

PHPによるWebサービスの開発方法に興味があり,多くのWebサイトでこの書籍が推薦されていたため興味を持って読んだ。

書籍の内容としては,ショッピングサイトを題材にPHPによるWebサービスの開発を学ぶ本となっている。

動作環境はPHP 5+XAMPPとなっている。PHPの基本機能しか使っていないので,PHP 5でも7でも特に影響はなさそうだ。

前著の「いきなりはじめるPHP ワクワク・ドキドキの入門教室」である程度PHPについて知識があることをベースにしている。が,本文でもある程度説明はある。

Webサービスに必須の以下の機能を具体的にどのように実装するのか学べるようになっている。

  • DB操作
  • セッション管理
  • メール送信
  • ファイルダウンロード
  • 会員機能

PHPの教本はいろいろ出ているが,書籍の末尾にDB操作だけとか,PEARなどの外部ライブラリーやフレームワークを使っていたり,どれも微妙なものばかりな印象だった。

この書籍はPHPの基本機能だけで,ここまで網羅的にWebサービスに必要な機能を説明しているところが,他の書籍と一線を画している。そして,初学者を強く意識しており,あまり細かいことの説明を避けて,本質的な部分の説明に絞っている。

入力チェックのために画面構成が冗長であったり,まどろっこし部分などがあったりはするのだが,丁寧に順序立てて説明しており,よかった。

本書1冊をきっちりこなすことができれば,自分で会員機能のあるWebサイトを構築でき,半年から1年のPHPの実務経験と同等の経験が身につけられそうに感じた。

本書をきっちりこなして基礎を身に着けてから,Smarty,CakePHP,Laravel,Symphonyのような人気のPHPのフレームワークを触るのが正攻法に感じた。

結論

PHPの入門書は何冊か読んだが,入門書の次の一冊としてこの本がよかった。入門書ではWebサービスに必要な要素の説明が欠けている。

例えば,セッション管理の説明はあるが,実際の会員機能については説明がない。そのため,ログイン後のページアクセスではどのようにログイン中かそうでないかを判定し,処理を分けるのかまで書かれていない。そうした実際のWebサービスには必要な細々としたことが,一つのショッピングサイトを作ることで本書で学ぶことができる。

また内容が実践的なものが多く,例えば配列の使い方にしても,単純な使い方だけではなく,配列のキーをうまく使うことでif文を省略できるなど,実用的な使い方を説明していてよかった。

多くのサイトで本書が推薦されているだけのことはあると感じた。

セキュリティ的に問題があったり,UIや画面構成がいまいちだったりはするが,基本については押さえられており,遊びの個人サイトであればセキュリティに目をつぶってそのまま流用できるのではないかと思った。

教科書的に無味乾燥なサンプルをやるのではなく,実践的な内容が詰まっており,いい本だった。

書評☆4 起業の科学 スタートアップサイエンス | 科学に基づいた成功するスタートアップのコツ

概要

  • 書名: 起業の科学 スタートアップサイエンス
  • 副題:
  • 著者: 田所 雅之
  • 出版日: 2017-11-06
  • 読了日: 2019-10-15 Tue
  • 評価: ☆4
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/02/

評価

スタートアップの成功に必要な知識をまとめようと著者が作成した「スタートアップサイエンス2017」をベースにした成功するスタートアップの解説本となっている。

この本のすごいところは以下の2点だろう。

  1. 文献
  2. レイアウト

過去の成功したスタートアップと失敗したスタートアップの事例をふんだんに散りばめられており,出典元の情報も記載されている。情報の出所が記載されており,信頼性が高いと感じた。

また,元がスライドベースだということでイラストや図解が大量に掲載されており,かなり読みやすかった。

実際にスタートアップを考える際に,手元においておきたい資料になるだろうと感じた。

引用

p. 18-29 1-1スタートアップにとっての「良いアイデア」とは

スタートアップはいかに課題にフォーカスするか,解決する課題の質を高めることを説明していた。解決する問題の影響度が高ければ高いほど,ビジネスとしても大きな成果が上がる。ただし,グーグルグラスやアップルウォッチのように,大企業でも課題を軽視すると失敗するとというのを事例を出して説明していたのがよかった。

その他,同じ観点で自分ごととして捉えられる課題を解決することが課題の質の向上につながるとのことだった。

また,スタートアップは誰が聞いても良いアイデアを選ぶべきでないとして,大企業の意思決定の流れを用いていたのは面白かった。たしかに,大企業のように重役を何人も説得しようとすると,長持ちするモバイルバッテリーのように,ありきたりな誰が聞いても良いと思うような既存の製品の改善くらいしかできない。

スタートアップは,電池不要のスマホのような既存市場を破壊するくらいのことをしないと,一見悪いようなアイデアを打ち出すことが重要だ。

p. 60: PEST分析で「兆し」を見つける

このセクションでは,スタートアップのための課題を見つけ出すための4種類の領域について分析していた。

  1. Politics
  2. Economy
  3. Society
  4. Technology

例えば,規制産業ほど規制緩和時にスタートアップにとっては大きなチャンスとなり得る。規制に守られてきた企業はエンドユーザーのUXなどを考えていないからだ。

結論

実際に自分で起業するなんてことは,ほとんどないだろう。そういう意味で大多数の人にとっては無意味な本だろう。

ただし,起業する際には参考になりそうな情報が,文献を元にわかりやすくまとまっていた。実際に起業する際には入手してもう一度読み直したいと思った。

書評☆4 魔法のように片づく!見つかる!超ファイルの技術 | 「超整理法」の押し出し式ファイリングを改良したWI式ファイリングシステムは書類整理に効果あり!

概要

  • 書名: 魔法のように片づく!見つかる!超ファイルの技術
  • 副題:
  • 著者: 刑部 恒男
  • 出版日: 2005-08-27
  • 読了日: 2019-10-11 Fri
  • 評価: ☆4
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/11/29/

評価

ファイル・書類の整理術を解説している。この本の特徴としては,既存のファイリング術を試して試行錯誤の上に考案したWI式ファイリングシステムを解説しているところだ。

ファイリング術としては,野口による「「超」整理法 – 情報検索と発想の新システム (中公新書)」で提案されている押し出し式ファイリングが有名だった。

ただし,該当書籍内でも説明がある通り,この方法は数が増えると検索に時間がかかる。そのため,量が増えたらうまく分類して保管場所に格納する必要があった。

そこで,著者が考案したWI式ファイリングシステムでは,封筒にWI (ダブル・インデックス) を記入し,グループ名と中身をそれぞれ記入する。これにより,グループで管理することが可能になる。

WI式ファイリングシステムの実践方法を図解を用いてわかりやすく解説されていた。過去に参考にした他の文献も随所に引用されており,さすが医学博士だと思える素晴らしい書籍に仕上がっていた。

日々の生活な中に取り入れてみたいと感じた。

引用

引用箇所が多いので,ページ数と概要を記載しておく。

  • p. 4-7 まえがき: 野口式+山根式の既存の整理法の概要と欠点を手短に言及されていた。
  • p. 27 理想的な仕事環境のための4つの条件: ファイリングシステムに必要な要件を定義していた。
  • p. 48-51 「魔法の袋」で夢のシステム化: WI式ファイリングシステムの全体フローがまとめられていた。
  • p. 60 2 「山根式袋ファイル」の50音順検索のメリット・デメリットは?: 既存のファイリング術として1986年出版の山根による「スーパー書斎の仕事術」の方法を紹介していた。この方法は「超整理法」以前の方法で知らなかった。
  • p. 108 5 ネーミングのポイントは、最初に思いついた名前: WI式の課題としてインデックスへ記入する名前を感じていた。ここでは最初に思いついた名前がいいと解説していた。
  • p. 124 9 保管スペースをどうするか?: 保管スペースの確保方法を解説しており,その中で垣添が「知の便利フォーム術」で提案している内容も引用していた。
  • p. 140-143 「スタンプ法」にすれば簡単で美しい!: WI式のインデックス部分の枠の用意方法を説明していた。専用のスタンプを作る際の寸法が書かれていた。
  • p. 146-149 4 ファイルの中は、クリアーホルダーで細分化すればいい: 袋ファイルの中にそのまま詰め込むとぐちゃぐちゃになるので,クリアファイルで細分化することを提案していた。
  • p. 152-155 5 封筒が「情報カード」になる: 封筒表面の活用方法を解説していた。その中で中身の移動履歴を記入することを薦めていた。
  • p. 156-159 6 大量に使う人は「印刷法」: 大量に使う人向けに封筒へのラベル類の印刷の寸法が書かれていた。
  • p. 170-173 3 さまざまな情報や資料をファイリングする: ファイルをどういう単位で格納するか解説していた。保存するか迷ったらペンディングファイルを使うというのがポイントだった。
  • p. 200-203 1 「I Canカード」で夢を実現する!: WI式の番外編としてシステム手帳活用術を解説していた。その中で,著者が印象に残った梅棹忠夫の「知的生産の技術」を紹介していた。

結論

医学博士により書かれたファイリング術に関する本だった。医学博士だけあって,既存の文献を引用しており,論理的に文章が組み立ててられてとても良かった。

また,過去の文献の引用からわかる通り,実際にいろんなファイリング術を試した試行錯誤の過程も記されており,今回提案されたWI式ファイリングシステムの経緯なども参考になった。

2017年に「片づく! 見つかる! スピーディー! [完全版]超ファイルの技術」という新著でている。本書の出版時は,WI式の専用封筒開発の文具企業への企画は失敗したようだが,コクヨから打診が出てWI式に最適な商品「グルーピングフォルダー」が販売されたようだ。これにあわせて内容を見直したもののようだ。章構成はほぼ同じなので,本書でも十分通用するだろう。

詳細はWI式の公式サイト[魔法の整理術! WI式ファイル法・公式サイト」を見ると良い。

この本の内容がよかったので,著者の別の本も読みたいと思った。