書評☆2 見える化4.0 | 社内構造の可視化による経営改善

概要

会社経営について詳しい2人の専門家による,社内状況の可視化による経営改善を提言している。

可視化は以下の4段階のレベルがある。

  1. 社内構造
  2. プロセス
  3. サービスモデル
  4. 24時間

著者が経営の人であるため,経営の内容に終止している。一般社員が読んだところで,どうにもできない内容だった。

結論

IoTのビジネスの話を期待していたのだが,思っていたのと違った。

こういう経営の話は,一般社員が読んだところで,実行不可能であり,役に立たない。

今後はこういう経営の本を読むのは避けようと思った。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/04/23/

書評☆3 ハードウェアハッカー | ハードウェアオタクのための量産開発秘話

概要

ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書 大賞2019 に選ばれており,ネット上での評判も良かったので興味を持って読んだ。

ChumbyというLinuxベースのインターネットに接続できるガジェットの開発者によるハードウェアの量産・開発について書かれた本だった。

前半は中国のシンセンでのハードウェアの市場や工場の見学した記録,中国の工場と実際に協力して発生したトラブルや感じたことがレポートされていた。後半辺りから,実際のガジェットのハックや,ライセンス違反をしないように新しい製品を作っていく過程について書いてあった。

内容がハードウェア開発のスタートアップ企業の視点だったため,ある程度ハードウェアについての関心がないとあまり興味を持たないような内容だった。普通の人がこの本を読んでもふーんくらいで終わる。おそらく,こういうハードウェア好きなオタクが読まないと意味がないだろう。

結論

ネット上での評判が良かったので気になっていたが,少なくとも自分には合わなかった。ある程度ハードウェア関係に興味のある人じゃないと読んでも役に立たないだろう。

SDカードの粗悪品の調査などマニアックな内容があるので,そういうのが好きなオタクにはいいだろう。ただし,一般の人が読んでも時間の無駄に終わるだろうと感じた。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/03/07/

書評☆3 まるわかり! IoTビジネス 2019 | コマツのスマートコンストラクションなど各社の2018年の最新動向を把握可能

概要

日経BP社の出版物 (日経エレクトロニクス,日経コンピュータ,日経ものづくり,日経NETWORK) やWebサイト (https://teck.nikkeibp.co.jp) に掲載されたIoTビジネスに関する記事を編集・加筆・修正された内容となっている。

書名通り,各社がIoTビジネスにどう取り組んでいるかが50の事例でまとまっている。書名は2019となっているが,出版日が2018-11-24であるので,2017年から2018年までの最新事例が掲載されている。

最近の各社の取り組みの新しい情報が掲載されており,近年のIoTへの取り組みの動向を探るのには適している。

とくに,冒頭でIoTの分野でKOMTRAXで先進的だったコマツが,次の取り組みとしてスマートコンストラクションに取り組んでいるのが参考になった。IoT化が進むにつれて,データ分析などの重要度がますようだ。

参考

p. 24: デジタルツインの通信を担う「OPC UA」

産業用IoTにおいて、デファクトスタンダードの通信規格になりつつあるのが「OPC AU」である。


OPC UAの仕様とプログラムは全てオープンソース・ソフトウェアであり、ソフトウェア共有サービスの「GitHub (ギットハブ)」で公開されているほか、「IEC 62541」として国際標準化されている。


OPC UAは「通信プロトコル」と説明されることも多いが、実体としては「HTTP/HTTPS」「TCP/IP」「AMQP」といった既存の通信プロトコルの組み合わせであり、用途の拡大に合わせて対応するプロトコルや組み合わせの種類も増える傾向にある。

OPC AUという規格の存在を知った。

###p. 42: 規格の壁を越える主なAPI連携サービス
表1規格の壁を越える主なAPI連携サービス

  • API連携サービス名 | 開発やサービスの提供主体 (企業の設立時期)
  • IFTTT | 米IFTTT社 (2010年)
  • Zapier | 米Zapier社 (2011年)
  • Workflow | 米Apple社 (開発元の米DeskConnect社は2012年設立。2017年にApple社がサービスを買収)
  • muzzley | ポルトガルMuzzley社 (2012年)
  • Stringify | 米Stringify社 (2014年)
  • myThings | ヤフー (2017年にサービス開始)
  • クラウド連携版デバイスWebAPI*1「Symphoney」(開発コード名) | デバイスWebAPIコンソーシアム (NTTドコモとソフトバングモバイル (当時) が2015年に設立。2017年10月初めの時点で会員企業は119社)
  • 統合WebAPI | 大和ハウス工業 (実証実験中)
    *1 デバイスWebAPIは「GotAPI (Generic Opent Terminal API Framework Version 1.0)」とも呼ぶ。

IFTTTは単にSNSに同時投稿するための簡単なWebサービスと思っていが,今やIoTにおいてデバイス間のAPIを連携するために使われており,一種のプラットフォーム化しているようだ。

結論

IoTに対する各社の新しい事例が掲載されており,最新動向を把握するのによい本だった。

内容も,生活,向上,フィールド,医療・インフラという業界を絞らず広く扱っており,何かしら自社とも関わりのある情報が得られるだろう。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/02/04/

書評☆4 公共IoT | 多数の調査データに基づく公共IoTシステムのモデル案

概要

日本総研のシニアマネージャー,スペシャリストといったその道の専門コンサルタントにより書かれた公共IoTに関する本となっている。

書籍の構成は大きく3部構成となっていた。

  1. IoTやSociety 5.0の経緯,政府や国際動向
  2. 公共IoT: Society 5.0の地域モデル
  3. 公共IoTの実現プロセス

全体的に内容が調査結果に基づいており,根拠がしっかりしていてとてもよかった。

まず,第1部で世界や日本政府のIoT化,Society 5.0がどういう流れで来たのかが手短にまとまっている。国際的に直面している課題やグローバル企業の動向などが書かれており,参考になった。

そして,第2部。ここがこの本で大部分を示している重要な部分だ。ここが100ページほど費やされており,書籍の1/2程度を占めている。公共分野にIoTを導入することを提案している。具体的に,何が問題で,何を解決し,どういうシステム構成でいくのか,よく書かれている。問題点に関してはきちんとデータを使っており,論理的だった。

そして,最後に公共IoTを実現する上で,民間と政府がどう協力していくかなどが書かれていた。

まず,最初の導入部分でSociety 5.0がいつどういう経緯で登場してきており,何を狙っているのかが,政府公開資料を元に書かれており,詳しくてよかった。この時点でこの本がいい本だとわかった。

第2部の公共IoTモデルは,扱う分野が公共ということで,直接関り合いのある人は少ないかもしれない。しかし,IoTの適用モデルとして,しっかりと考えられており,参考になると感じた。

参考

p. 17: Society5.0の現状

Society5.0を政策的な言葉として初めて位置づけたのは、2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」である。


Society5.0には、狩猟社会(Societyl.O)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導する、という意味が込められている。第5期計画は、Society5.0を「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」と定義している。

近年言葉を見かけるSociety5.0についてまとめられており参考になった。

p. 34: 求められる生活環境づくりのAI/IoT政策

AIIloTの時代に地方が付加価値を高めるために必要なのは、地方に豊富に存在している資源に着目することである。それは、地方における生活環境である。本書が提案するのは、AIIloTを駆使した生活環境づくりである。しかも、その対象を地方部において誰もが恩恵を受ける公共インフラを中心とするのである。ここで言うのは、道路や橋のようなハードなインフラだけでなく、教育、医療のようなソフトな分野も含む広い意味での社会インフラである(図2-2)。

こうしたインフラがAI/loTによって付加価値を高めれば、地域住民の生活の付加価値が高まり、それが地方独自の社会の活力につながる。また、広い意味でのインフラは住民生活と密接に絡み合っているので、住民生活の付加価値が高まればインフラ、公共サービスの付加価値も高まる、という好循環が生まれる。

公共IoT投資の意義が書かれており参考になった。

p. 36: AI/loTによる次世代の成長モデル

ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスが1983年に創業したグラミン銀行は、貧困層を相手に無担保・無審査での貸付を行い、98%もの高い回収率を誇った。その成功の要因としてされてきたのが、貸付する人に5人組を組成させ、グループ単位で貸付(グループローン)を行ったことだ。

シェアリングエコノミーの原理がわかった。

結論

Society5.0の経緯や,グローバルなIoT/AIの動向,さらに公共IoT投資への意義が書かれていた。具体的な公共IoTのモデルが書かれており,IoTシステムを開発する上で非常に参考になると感じた。

全体的に,政府調査結果をベースにデータを使って,論理的に説明されている。これだけの調査はさすがコンサルタントといったところで,一般人には手が届かない。

全体のページ数は170ページほどと,決して多くはない。しかし,専門家の調査・報告内容がぎゅっと詰められている。手元に置いておきたいと思える一冊だった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/02/01/

書評☆3 未来IT図解 これからのIoTビジネス | 多数の図解でIoT活用分野・事例を浅く広く解説

概要

最新のIoTビジネスの活用事例と今後の展望を解説している。

この本の特徴は図解が多く,わかりやすいところだ。書籍の半分以上のページに図解が配置されており,ぱっとみてイメージがつかみやすかった。

文量も160ページほどと多くなく,軽い気持ちでIoTがどういうところで使われていくかを把握できる。

ただし,文献引用がなく,踏み込んだ内容はあまりないので,あくまでイメージをつかむための本だと感じた。

結論

IoTビジネスの活用事例が解説されている本だった。図解が多く,ざっとどういうところでどんな使われ方がするのかを把握するのにはよい。

しかし,踏み込んだ内容がないので,詳しく知る場合は別の本をあたる必要がある。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/01/29/

書評☆3 AI・クラウド・IoT – 2020年度版 | 就活生向けIT業界紹介

概要

AI・クラウド・IoTをキーワードにIT業界を紹介している。特にIT業界未経験の新卒,転職などの就活人向けの本となっている。

大きく以下の5点が書かれていた。

  1. 社員インタビュー
  2. 注目企業紹介
  3. 業界基礎知識解説
  4. 業界・職種分類解説
  5. 企業データ

IT業界未経験者を念頭に置いており,基礎的な用語などから解説されており,わかりやすかった。

就活の手始めに業界にどういう会社があってどういうことをやっているのかの概要を把握するのにはよい。

ただし,いろんな会社のことが書いてあるので,目移りしたり混乱するかもしれないので注意が必要だ。ここで得た情報を元に,気になる会社や業種などを深堀していくのが良いと思う。

結論

AI・クラウド・IoTをテーマに,IT業界の企業が浅く紹介されていた。IT業界未経験者を念頭に置かれており,基礎的なことも解説されている。ただし,基本的には内容が浅いので,いいことしか書いていない。悪いことはあまり書いていない。

IT業界未経験者の業界研究の一歩としてはまとまっていて悪くはなかった。ただ,自分はIoTについて詳しく知りたかったので,そういう目的には合わなかった。あくまで就活生向けの就活本だった。

パーマリンク: https://senoken.jp/blog/2019/01/20/

書評☆4 IoT時代のプラットフォーム競争戦略 | JavaとVMwareの事例を元にした読み手に知性を要求するプラットフォーム戦略解説

概要

クラウドサービスや,今後も進化が見込まれるIoTにおいて,プラットフォーム製品戦略が重要度を増してきている。本書では,JavaとVMwareの事例を元に,プラットフォーム製品戦略を解説している。

書名に「IoT時代の」とあるが,内容はプラットフォーム戦略についてのものであり,IoTに特化したものではない。ただし,内容が汎用的なものなので,IoTにも十分通じる。

この本で良かったのは以下2点だ。

  1. JavaとVMwareの戦略の解説
  2. JavaとVMwareの戦略を元に,プラットフォーム戦略の一般化

まず,プラットフォーム戦略の事例として,JavaとVMwareをとりあげ,それぞれの製品がどのようなことをやっていたのかを整理していた。

JavaもVMwareもIT分野では成功した製品であり,どういう経緯があったのかを知ることができたのは,単に教養としても良かった。

それぞれの製品では,共通してWindows (Hyper-V) がプラットフォームの競合となった。これに対して,どのような戦略でどこで収益を上げていたのかまで解説していて参考になった。

続いて,これらの2製品を元に,プラットフォーム戦略としては具体的にどういう戦略をとっていけばいいのかを導いていた。ここで導かれた内容は,プラットフォーム戦略として一般的に通用する内容だったので,IoTなど他のプラットフォームへの展開も可能と感じた。

著者がビジネス寄りの学者であり,本書も学術的な面も重視していたので,前半部分は内容が固くて読みにくかった。しかし,後半部分については具体的な内容や戦略が解説されていた。そのため,前半で書かれていた概念なども戻って読むことで理解できるようになった。

その他にも,プログラムやコンピューターの起源についてもまとまっていて,IT技術者の教養としてもよかった。

参考

p. 11-17: 第1節 コンピューター・ソフトウェアの階層化の時系列整理

p. 30: 脚注

コンピューターの起源についてまとまっていて参考になった。

p. 53-83: 第4章 後発プラットフォーム製品提供者の操作項目,第5章 推論によるドミナント化モデルの提示,第6章 階層介入戦略と位置付け

前章と同じく先行研究レビュにより,プラットフォーム製品のドミナント化の要因に影響をもたらす後発プラットフォーム製品提供者の操作項目として,アクセス可能ユーザー数の増加,マルチホーミングコストの低減,隣接対象プラットフォーム製品の多数選定,持続的収益確保モデルの遂行,の4つを提示する。

プラットフォーム戦略を行う上で,サービス提供者が操作可能な項目についての整理,プラットフォームの支配下モデル,他のプラットフォームへの介入戦略方法のモデルを解説しており,考え方が参考になった。

p. 62: 第2節ドミナント化のモデル

ここでは先行研究から導かれた後発プラットフォーム製品におけるドミナント化のモデルが図示されている。いわれてみれば,当然のことが書かれているが,これを図示して形にしているというのが重要だと感じた。

p. 118: 解説4 シリコンバレーと企業創出システム

シリコンバレーが最先端のIT企業の集積所として有名だ。なぜシリコンバレーがこうなっているのかを解説していた。端的にいうと,人材,技術,資金が密集しており,これらが循環しているからだ。

p. 169: 第8章 事例から導かれた新たな効果や現象

Javaの事例とVMwareの事例の操作項目の観点での分析ならびに確認から,導出される階層介入型プラットフォーム製品特有の戦略に関する仮説は以下である。

  • 仮説3-1: コモディティ化の誘発
  • 仮説3-2: 延命の助長
  • 仮説3-3: 包囲されにくい防衛策
  • 仮説3-4: バンドルの分断

この章では,JavaとVMwareの事例を元に,4の操作項目が何であったのかを整理 (p. 174: 第2節 戦略の示唆) しており,参考になった。また,JavaとVMwareの事例から,戦略上の示唆・仮説が出されており,これがとても参考になった。

p. 183: インプリケーション6 IoT時代のプラットフォーム競争戦略

戦略策定担当者は,現状の自社のプラットフォーム製品の市場での状況を鑑み,慎重に戦略をねらなければならない。なぜなら,本書でこれまで説明した隣接プラットフォーム製品との「相互接続」によるアクセス可能ユーザーの流動性が,有意性を強めたり弱めたりするためである。

いよいよ書名にもあるIoTについてのプラットフォーム戦略についての解説だった。ここまでで,プラットフォーム戦略について解説されてきれいるので,これらを念頭に戦略を練る。

また,ここだけでなく1-6の全インプリケーションは全て示唆に富んでおり参考になった。

p. 190: 参考文献

本文中で参照された文献72点の引用元が記載されている。引用文献が多ければ多いほどいいというものではないが,参考になった。

結論

書籍の序盤は専門用語が出てきたり,固い文体で読みにくかった。しかし,後半にいくにつれて内容が理解できるようになった。コンピューターやプログラムの始まりから,世界を変えたJavaやVMwareの事例の解説など,教養としても参考になる内容だった。

この本の有用性を理解するには,ある程度の知性が必要だ。しかし,この本の内容を理解できれば,プラットフォーム全般に対して良い戦略を立てることができる。マーケティングなど会社の上層部で意思決定力のある人が活用すると効果が大きい。

ビジネス書はあまり興味を持たないが,この本は手元に置いておきたいと思える内容だった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/01/03/