書評☆3: 天才を殺す凡人 | 周りの人間との相性が全て

概要

  • 書名: 天才を殺す凡人
  • 副題: 職場の人間関係に悩む、すべての人へ
  • 著者: 北野 唯我
  • 出版日: 2019-01-16
  • 読了日: 2020-02-12 Wed
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2020/02/18/

評価

2018-02-23に公開された「凡人が、天才を殺すことがある理由。」のブログ記事が書籍になった。電車内広告で見かけており,2019年に勤務していた会社の同僚にお勧めされて興味を持って読んだ。

まえがきにあるとおり,才能を「ビジネスの世界で必要な三つ」に定義し,その才能を活かす方法を段階的に解き明かしている。

内容自体は,ブログ記事を元に天才,秀才,凡人と全てを理解する天才によるベンチャー企業をモチーフにしたストーリー仕立てで進行していく。カリスマ社長の天才,それの右腕の秀才,社長と創業当時からの知り合いの凡人の役割で,凡人視点で物語が進む。

秀才の策略で天才社長が周りに理解されず,社長を助けようと凡人が奔走するも,退任に追い込まれるという話だった。

副題に,「職場の人間関係に悩む、すべての人へ」とあるが,書籍の内容的に周りに理解されない天才とどうにかうまくやる方法を書いているように感じた。

ただ,結局本書の最後では理解できる人間を見つけてアプローチするしかないという,見も蓋もない終わり方をしていて,いまいちだった。

この本の中では,おそらく自分は秀才に該当すると感じており,実社会で周りと全然話が噛み合わず,居づらくなって退場というのを2-3回経験している。

今までを振り返ってなるほどと重なる部分はあった。ただ,どうにかできたかというとそれは無理だと感じた。いつもだが,結局周りの人間次第というのが大きい。成功も失敗も周りの人間との相性が大きい。本書でも「最強の実行者」 (共感性があり,主語が組織の人) にうまくアプローチしたりしていたが,そういう人物に適切なタイミングで出会っていなければ,後の祭りだ。

そういう面で,本書は現象の理解には役立つかもしれないが,現実には何もできないように感じた。

引用

p. 34:人の才能は3種類ある

  1. 天才: 独創的な考えや着眼点を持ち、人々が思いつかないプロセスで物事を進められる人
  2. 秀才: 論理的に物事を考え、システムや数字、秩序を大事にし、堅実に物事を進められる人
  3. 凡人: 勘定やその場を敏感に読み、相手の反応を予測しながら動ける人

なんとなく普段の生活で感じていた分類が明確にかかれていた。

p. 44: 多数決は「天才を殺すナイフ」・大企業でイノベーションが起きない理由

「拡大は『事業KPI』で見られるし、金を生むフェーズは『財務上のKPI』で測るころができる。経営科学の発展によって、プロセスが十分に科学されてきた功績だべ。だどもな、問題は『創造性』や。言い換えれば『天才かどうか』を、測る指標がないことや」
__
「たしかに創造性は、直接観測できへん。だども、社会からの『反発の量』で間接的にはかることができる」

多数決になると,少数派は不利になるのは当然。

p. 124: 異なる主語を持つ人たち

「天才、秀才、凡人、この三者のコミュニケーションは、『軸』が違うから永久に交わることがない。この話は以前したやろ」


「その理由の根源は『主語の違い』なんやわ」


  1. 主語を、人メインで語る人。凡人に多い。
  2. 主語を、組織やルールなどの、善悪で語る人。秀才に多い。
  3. 主語を、世界や心理など、超越した何かで語る人。天才に多い。

コミュニケーションの軸でなるほどと感じた。

p. 134: 主語を変え、「最強の実行者」を巻き込む瞬間

「でも、結局、なぜ『あなたなら、どうしますか?』がキラークエスチョンなんですか」


「この質問はまさに、主語を変えるためのものやからや。凡人が、秀才を説得できない理由の一つは『主語の違い』や。秀才のほうが組織全体や社会全体が見えているからこそ、凡人の発言というのは、ホンマに『ただの感想』や『意見』に見える。ほんでちょっと、心の中で見下す」

よくあるコミュニケーションのテクニックの一つだった。

結論

話題の本であり,少し期待していた。ある意味期待通りで面白かった。

ただ,よくある自己啓発本と同じで,この本を読んで現実世界の行動で何か変化を起こせるかというと何も起こせないように感じた。

結局のところ,周りの人間との相性次第で,運任せな部分が大きい。メカニズムを理解できたところで,それを役立てることができないならば,特に意味はない。

ただ,内容は面白かったので,教養として読むのがいいと思った。

書評☆3 君たちはどう生きるか | Q. 目の見えない人に赤色とはどんな色かどう説明するか? A. 経験しなくてはわからない

概要

  • 書名: 君たちはどう生きるか
  • 副題:
  • 著者: 吉野 源三郎
  • 出版日: 2017-08-24
  • 読了日: 2019-09-13 Fri
  • 評価: ☆3
  • パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/11/04/

評価

2018年の年末から2019年始め頃にかけて電車内広告でよく目にしていたのが印象に残り気になったので読んだ。

原著は1937年に出版されている。児童文学として,当時の状況を反映して,比較的裕福な家庭に生まれた中学一年生の主人公とその身の回りに起こったことを踏まえて,どのように生きればいいかというのを問うような内容になっている。

物語の展開としては,以下の流れで展開されていた。

  1. 主人公の本田 潤一 (コペル君) の身の回りで起こったできごとを描写
  2. 叔父さんが解説

内容は日常の些細なできごとだった。その中で,いじめや歴史,理不尽,恐怖への対応について取り扱われていた。

戦前から読み伝えられてきたというのは感慨深いものがある。

児童文学としては,悪くはなかったが,なぜそこまで絶賛されたのかがわからなかった。

引用

p. 28 ものの見方について

ここではコペル君が町中に大勢の人がいることを見て,人間は水の分子みたいと考えたところから叔父さんの解説が始まる。

ここでコペルニクスの地動説を引用している。

世の中の多くの人は,大人になるにつれて自分・人間中心の考え方になっていき,今までの常識から離れた視点で物事を考えられなくなってくる。

主人公の眼鏡の坊やがコペル君というあだ名になったのは,今回感じた経験を忘れないように付けたものだった。

地動説を唱えたコペルニクスのように,世の中の常識にとらわれずに,真理を見誤らないようにする。

この大人になるにつれて自分中心の考え方になるというのは,社会人になってそのような考え方の人間が多くいることに気付いて実感する。

p. 56 真実の経験について

同じように、生まれつき目の見えない人には、赤とはどんな色か、なんとしても説明のしようがない。それは、その人の目があいて、実際に赤い色を見たときに、はじめてわかることなんだ。

— こういうことが、人生にはたくさんある。


君自信が生きてみて、そこで感じたさまざまな思いをもとにして、はじめて、そういう偉い人たちの言葉の真実も理解することができるのだ。

ここではクラスの貧しい子でよくからかいの対象になっていた豆腐屋の浦川に対するいじめのできごとについて,叔父さんの解説が始まる。

この件について,コペル君が大きく心を動かされたことを指摘して,経験の重要性を指摘していた。大きく心を動かされた出来事は,なぜ心を動かされたのか,よく考えてみると,本質的なところが見えてくる。

引用した「目の見えない人に赤色とはどんな色かどう説明するか」というのは,けっこう面白い問いだった。例えば,自分の好きなものや問題に思っていることを他の人にどう伝えるのかということに置き換えても考えることができそうだ。

このやりとりが書名である「君たちはどう生きるか」にかかってくる,本書の本質的な部分のように感じた。

p. 183 五、ナポレオンと四人の少年

「もし、黒川なんかが北見くんを殴りそうになったら、僕たちは、僕たちも一緒に殴れっていってやるのさ。なんにもしない北見くんが殴られるなら、僕たちも一緒に殴られてやるって、そういってやるのさ。そうすれば、まさか殴れやしないよ」

ここでは友達の北見くんが生意気だと上級生に目をつけられているという話から,その対応について話があった。

学校なんかでは上級生が下級生に対して偉そうにしているということがよくある。学校だけじゃなく,会社もそうか。

こういう場面にどう対応すればいいか。目の前の理不尽に対してどう対応するかという問題に感じた。中でも,いじめられっこの浦川君が提案したこの意見はいいなと思った。

ここでの約束が,この後それを怖くて履行できなかったコペル君に対してまた問題にはなるのだが…

結論

児童文学として戦前から伝えられてきており,内容も比較的普遍的なものを取り扱っていた。

読み物として,教養として読むにはよかった。しかし,そこまで深堀はされていないため,絶賛される程のものではないとも思った。

書評☆2 SEのための29歳からのキャリア向上計画 | ひたすらコミュニケーション

概要

大学を卒業して社会人として7年程度の経験を積んだ中堅SEを念頭に置いて,30歳からのキャリア向上方法について書かれている。

端的にいうと,コミュニケーション能力についてひたすら書かれている。ここでいうコミュニケーションとは,プレゼンテーションや,ネゴシエーション,リーダーシップも含んでいる。

技術的な面は一切なく,ひたすらコミュニケーションについて書かれている。日本のよくあるSIerは,昇給に当たって技術的な面よりもマネジメント面を偏重する傾向があるので,2010年の当時ではこれがよかったのだろう。

ただ,コミュニケーションというのはいかに自分の意見を押し付けるのかというところに帰着するように感じる。自分と似た同質の組織であればそれが簡単で,自分とレベルの異なる相手ではそれが難しいだけではないかと感じてしまう。

自分よりあほな上司を説得する方法などが書かれていればまだ参考になったのだが,それもなかったので,結局よくあるコミュニケーションをかたった残念な自己啓発本の域を出なかった。

冒頭でITSSが引用されていたので,期待していたのだが,期待はずれに終わってしまった。本文内で引用されている本を読んだほうが早いだろう。

結論

自分が30歳になり,この本で書かれている年齢と同じ程度になった。そのため,何かしら参考になるかと期待していた。

しかし,期待はずれだった。内容自体はちゃんと書かれているし,文献の引用もある。しかし,こんな小手先のコミュニケーション術では,自分と同レベルの人間とはうまくやれるかもしれないが,はるかに上,または下の人間とのコミュニケーションには役立たないだろう。

どちらかというと,あほな上司・客・人間とコミュニケーションをうまくやる方法があればよかった。

パーマリンク: https://senookne.jp/blog/2019/08/20/

SEのための29歳からのキャリア向上計画

山崎有生 技術評論社 2010年08月
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書評☆3 協力がつくる社会 | 協力関係のための7の指針がまとめられた第10章と訳者解説が重要

概要

協力的な社会について,歴史的な経緯やWikipediaやLinuxのような近年特に顕著な協力の事例を取り上げ,人間の考え方や,方法について考察されている。

まず,この本においては「第10章 ペンギンの育て方」と「監訳者解説」を最初に読むことを強く薦める。

なぜかというと,書籍の大半が小難しく細かい議論が展開されているからだ。
人間の考え方などを振り返るのにあたり,リチャード・ドーキンスの利己的な遺伝子の話や他の経済学の原理や心理学の実験などがたくさん引用されており,読んでいてもつまらなかった。この内容がひたすら続くなら,評価は2にしていた。

しかし,最後の第10章でここまでさんざん議論されてきた協力関係のパターンを整理し,協力関係のための指針がまとめられていた。これがよかった。なにせ,このような協力関係のための指針が書かれた本はあまりないからだ。

そして,監訳者の解説が良かった。何回の書籍の大半をうまく噛み砕いて整理しており,最初のこの監訳者の解説を読んだほうがよかったなと感じた。そして,監訳者による本書の問題点の指摘が書かれており,ちゃんと考えて監訳したのだとわかった。監訳者の解説は今まであまり参考にならなかったので,ちゃんと読んでいたのだが,いい解説だった。

なお,副題のペンギンはLinuxのことで,リヴァイサンはトマス・ホッブスの著書 (普遍的利己性を想定するアプローチ) を指している。

参考

p. 229: 第10章 ペンギンの育て方

以下に挙げるのは本書を通じて示してきた証拠に基づき、成功する現実的な協力システムの要素だと私が信じるものだ。

  1. コミュニケーション。
  2. フレーミング、適合性、正真性。
  3. 自分を超えた視点 — 共感と連帯感。
  4. 道徳的システムの構築 — 公平性、道徳性、社会規範。
  5. 報酬と処罰。
  6. 評判、透明性、互恵性。
  7. 多様性を考慮して構築。

ながながと本文の大部分で議論されてきた内容のエッセンスがこの10章に詰められている。これらの要素を振り返り,本文中で取り上げられた過去の現実世界のさまざまな事例を見返すと,目の前の問題に役立てられるところが見えてきそうに感じた。

結論

書籍の大半は小難しくて細かい内容の議論が連続しており,はっきりいって読むのがしんどかった。しかし,これらの大量の事例と議論からまとめられた結論は,根拠があり,有益な結論だった。もう少しわかりやすくまとめてくれていれれば文句なかった。

自分で組織を率いるときやサービスを作るときなど,こうした要素を考慮して検討できれば,協力関係の得られるよい成果が得られるだろう。なかなかこうした情報が得られないので,貴重な本だった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/06/19/

書評☆3 協力する心の科学 | ただひたすらに協力に関する研究を紹介

概要

心理学者による,協力に関するさまざまな研究を紹介本となっている。

ただひたすらに協力に関するいろんな研究の事例を紹介している。いろんな研究があるのだなとは思った。

ただし,本当に事例の紹介しかしていない。しかも,ある研究結果に対してそれに対する反論の研究まで紹介している。公平性という観点ではいいのだが,では結局どうなのかというのがわからなかった。

事例を踏まえて,どうすればいいのかという著者の意見がなかったのが最大の欠点だった。

結局どういうときにどういう方法を取ればいいのかというおそらく多くの人が知りたい結論は書いていなかった。ただひたすら事例が紹介されていた

せっかくここまで調べたのだから著者の意見がほしかった。

結論

読みやすい文体だったのですらすら読めた。最後に著者の見解やまとめがあるかと思っていたのだが,そうした類のものはなくただひたすらに事例が紹介されていた。

参考文献も巻末にあったので,心理学を勉強している学生や研究者にとっては,いい資料となるだろう。ただし,一般人にとっては最後の結論がほしかった。何でもいいから著者のまとめがほしかった。これがなかったのが残念だった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/06/18/

書評☆4 謙虚なコンサルティング | 支援を実現するための3レベルの人間関係

概要

人を助けるとはどういうことか」,「問いかける技術」に続く,支援に関する本だ。

社会が複雑化するにつれ,クライアントもコンサルタントも問題も解決策もわからなくなってきている。そのため,従来のコンサルティングで問題を解決するのが困難となってきている。これに対して,謙虚なコンサルティングと著者が提言する新しいコンサルティングの形を解説している。

特徴は,人間関係を3のレベルに分類し,このうち個人的な知り合いであるレベル2の関係構築が,複雑な問題で必要であることを主張しており,その事例について紹介している。

他の前半部分で,今回提言した理論の背景や考え方について説明しており,後半からは過去のコンサルティング経験の事例も出しながら,ポイントを解説している。

前著,特に「人を助けるとはどういうことか」の内容がこの本でも関係してくる。

レベル2の関係を念頭に置きながら,やはり謙虚な問いかけによりクライアントと信頼関係を構築し問題解決に取り組む。その場その場で質問を考えたりする必要はあるが,やり方としてはこれ以上のものはないだろうと感じた。

参考

p. 49: 謙虚なコンサルティングはどのように新しいのか

「コンサルティング」という言葉は昔から次のような意味で使われてきた。専門的情報やサービス、診断、処方箋を助言という形で提供しながら、しかし、ほどよい距離感をしっかり保つことによって、「専門家および医者 (あるいはどちらか一方) としての役割を担って支援する」ことである、と。そうした役割は、問題点がはっきりしていて技術で解決できる場合はうまく果たせるかもしれないが、だんだんよい結果を生まなくなってきている。「問題」が何であるかが曖昧で、どんなことをすれば本当に役に立つのか、支援者がわからなくなってきているためである。

このことは本当にそのとおりだ。技術が発達し,世の中が進化・複雑化するに連れて,問題自体とそれに対する適切な解決策が何かわからなくなってきている。この説明で,著者が主張する謙虚なコンサルティングの必要性を納得できた。

p. 64: 人間関係とは何か。信頼する、率直であるとはどういうことか

私たちは、「人間関係」「信頼」「率直さ」という言葉を、深く考えることなく頻繁に使っているーまるで、その意味を理解できない人などいるはずがないと思っているかのように。しかし、これら三つの言葉について定義してほしいと頼んだら、呆気にとられたような顔をされるか、何を今さらと見下した眼差しを向けられゐか、あるいは、尋ねたほうも答えたほうも納得できない、あやふやな定義をされるかのいずれかである。


「人間関係」とは、過去の付き合いに基づいた、互いの未来の行動についての、一連の相互期待へのことである。

もし私があなたの行動のいくらかをほぼ予測でき、'あなたも私の行動の一部を予測できるなヘへら、私はあなたと関係があるということになる。関係が浅い場合は、互いに相手の行動をおぼろげに予想できる程度だが、関係が深い場合には、二人のどちらもが相手の考え方や感じ方や価値観を承知している。


相手の反応の仕方を互いに知っているという感覚に基づく安心感、合意した目標に向かってともに努力しているという安心感である。そういう安心感を、ふつう「信頼」という言葉は意味している。

人間関係や信頼という言葉を知らない人はいないだろう。しかし,本当のところこれらの言葉が何を指すのか自分も考えたことはなかった。著者によるこの定義は的を得ており,なるほどと納得した。

p. 67: 文化的に定義された関係と信頼と率直さのレベル

  • レベルマイナス1 ネガティブな敵対関係、不当な扱い
  • レベル1 認め合うこと、礼儀、取引や専門職としての役割に基づく関係
  • レベル2 固有の存在として認知する
  • レベル3 深い友情、愛情、親密さ

本書でキーとなる人間関係の3のレベルについて解説されていた。一般的な社会ではレベル1の関係であることがほとんどだ。そして,レベル1の関係は,問題とその対策がはっきりとわかっている場合には有効だ。ただし,非常に多くの複雑な問題はレベル2の関係が必要となる。逆に,レベル3は組織では馴れ合いやえこひいきなど問題となることが多い。

結論

理論的なところが腑に落ちて納得できた。

著者の他の本と同じで,結局は謙虚な問いかけによりクライアントとの信頼関係構築が重要という点では同じだが,視点が異なる。

こういった新しい視点を知ることができたのがとてもよかった。

2000年代後半以降の著者の本は読みやすくて,いい本がよかった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/05/07/

書評☆3 企業文化 [改訂版] | 文化の解読・変化のための手順

概要

企業文化を理解し,うまく制御するための方法を解説している。

組織文化とリーダーシップ」の内容をわかりやすくしたもののように感じた。

文化というのは,組織内で重要であるが,その分析や変革方法についての情報が欠如している。この本では,文化の分析方法や変革方法を具体的な手順を示しており,貴重な資料だと感じた。

参考

p. 21: 文化の3つのレベル

図表2.1 文化の3つのレベル

  1. 文物 (人工物): 目に見える組織構造および手順 (解読が困難)
  2. 標榜されている価値観: 戦略,目標,哲学 (標榜されている根拠)
  3. 背後に潜む基本的仮定: 無意識に当たり前とされている信念,認識,思考および感情 (価値観および行動の源泉)

文物や行動パターンを経験しただけで,その文化について十分知っていることになるのだろうか。それとももっと深いレベルで理解すべきだろうか。もっと深いレベルで理解するためには,組織が価値を置く事柄について質問してみると良い。つまり,なぜこのようなことをするのかを質問してみるのである。

文化の3のレベルが解説されていた。そして,文化を理解するための簡単な質問が提案されていた。会社訪問などで,自社の特徴をアピールしている会社はよくある。なぜこのようなことをするのかを質問するのは悪くないと感じた。

p. 81: あなたの会社の文化を解読する所要時間4時間の演習

  1. 快適な部屋に集合する。
  2. ビジネスの問題点を明確にする (30分間)。
  3. 文化およびその階層構造に関する概念を確認する (15分間)
  4. 文物を特定し,リストアップする (60分間)
  5. 組織の標榜された価値観を特定する (30分間)
  6. 価値観を文物と比較する (60分間)
  7. 共有されている仮定を評価する (45分間)
  8. 次のステップを決める (45分間)

企業文化を解読するための演習が具体的に示されていた。

実際の企業では,文物と標榜されている価値観,背後に潜む基本仮定が矛盾していることがある。つまり,オープンな風土を標榜しながら,実際はそうではないということが往々にしてある。これらの3のレベルを突き合わせていくことで,3の背後に潜む基本仮定を特定し,企業文化を解読できる。

p. 152: 変革チームと変革の手順

  • 手順1 なぜ,変革するのか?
  • 手順2 理想的な将来像とは?
  • 手順3および4 現状の評価と計画
  • 手順5 移行を管理する

企業文化に変革を起こす際の手順が書かれていた。このような重要であるが,どうしたらいいかわからないことにたいして,手順が示されているのがよかった。

結論

企業文化の解読と変革の手順が書かれており,参考になった。

企業文化は重要ではあるが,目に見えにくく,理解しにくいため,取り扱われず,過小評価されがちだ。この本ではその取り扱い方が書かれている。このような本はあまりないので貴重であり参考になる。

具体的な話や,より踏み込んだ話は「組織文化とリーダーシップ」にもあたるとよいだろう。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/05/03/

書評☆2 エンジニアリング組織論への招待 | 不確実性の取扱には確かな裏付けのある方法で対応すべきだろう

概要

ITエンジニア本大賞2019の技術書部門の大賞に選ばれていることに興味を持って読んだ。

ちなみに,ビジネス書部門の大賞の「イシューからはじめよ」も読破し,書評を付けている。

エンジニアリングを使った製品開発をしている企業の組織論が述べられている。IT企業を念頭に置かれているように感じたが,抽象度が高かったので,一般企業にも通用する部分は多かった。

表紙にもあるように,組織での失敗は,不確実性の取扱にあるとして,思考方法,コミュニケーション,マネジメントについて考察されていた。

ただし,自分にとってはあまり有用ではなかった。理由は,大部分が著者の考えだけに依るものだからだ。一部,申し訳程度にデータの引用や他書の引用はある。しかし,本書の大部分はあくまで著者の考えに過ぎない。学術的な理論や根拠に基づいているものではない。そういう意味で,あまり信頼できないと思った。

また,内容がけっこう抽象的で,一般社員が活用できるような内容ではなかった。せいぜいリーダークラスが最後のマネジメントの部分を参考にできるかもしれないという感じだった。

特に,コミュニケーションの部分に関しては,本書よりも「人を助けるとはどういうことか」を読んだほうが効果的だと感じた。

不確実性の取扱が重要とあるのだから,対処方法も著者の考えだけでなく,裏付けのあるより確実性の高い方法で対処すべきだろう

結論

書籍のレイアウトはきれいに組版されており,内容にしては比較的読みやすかった。ただし,その肝心の内容が,いかにもコンサルタントや意識高い系の人間が好きそうな小難しくて,一見もっともらしそうなことがだらだらと書き連ねられている。

これらの内容に,学術的な根拠や裏付けがあるならばまだよかった。しかし実際はあくまで著者の考えに過ぎない。著者を信頼できるならば,意味はあるかもしれないが,そうでなければあまり有用ではないと感じた。

ネット上で過大評価されていると感じた。どこぞのよくわからん人間に新しく書かれたそれらしい意見よりも,多少古くてもしかるべき人間に書かれた信頼できる情報を当たったほうがよいと感じた。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/05/01/

書評☆2 組織セラピー | 5分野の専門家による組織での就労に関する理論

概要

フロイト,ユング,ブリーフ・セラピー,家族療法,プロセス・コンサルテーションの理論家による,組織の中で働くことについての理論がまとまったものとなっている。

オムニパス形式になっており,5人の著者が持ち回りに1章ずつ記しており,最後にまとめの章で構成される。

ただし,一つ一つの章が10-20ページ程度と,単純に文量が少なすぎて,あまり参考にならなかった。理由が余り書いておらず,こうだからこうみたいな感じが多かった。

どちらかというと,巻末に付録としてついている日本でのシャインとの対談録の方が面白かった。付録といいつつ,ページ数が50ページと本書の1/3程度を占めていた。

結論

5分野の専門家による意見がまとまっており,読む前は期待していたのだが,内容が少なすぎて参考にならなかった。

シャインの本にはいいもの (「人を助けるとはどういうことか」) もあったので,残念だった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/04/26/

書評☆3 仕事が取れるすごい名刺交換5つの鉄則 | 名刺裏面に掲載すべき8項目とは?

概要

名刺の専門家である著者により書かれた名刺交換成功の秘訣が書かれている。

名刺交換時の話題や,名刺交換後の自己紹介として名刺裏面の活用の重要性が書かれていた。

特に,名刺裏面に記載すべき内容とそのポイントが書かれていて参考になった。今まで,項目を箇条書きにしているだけでいまいちだったので,これを参考にしたいと思った。

参考

p. 44: 名刺は、紙1枚にまとめた「自分の資産」

名刺交換とh単純に名刺という紙を交換する場でも、前出の女性のように「身分証」を交換する場でもありません。目の前にいる相手との「価値観」を交換する場です。

ここで言う価値観とは「仕事観」「仕事に対する想い」「流儀」「趣味」「家族」「出身地」「学歴」「資格」「好きな食べ物」「自分のルール」「成功体験」「失敗体験」「自分が経験してきたこと」など、自分の人となりがわかる情報のことを指します。

これらは、自分の中にしまっている資産と言い換えてもいいでしょう。その資産を頭の中にしまっておくのではなく、目に見えるようにすることを「自分の棚卸」といいます。この棚卸をする際に、私のセミナーで活用しているのが、49ページのマンダラマップを基にした棚卸ワークです。

このマンダラマップにあらかじめ記入している項目は、名刺交換の際に相手から話しかけられやすい項目ベスト8になります。このベスト8を名刺の裏面に記入することで、自分の価値観を相手に伝えることが可能になりますし、名刺交換時にネタ探しの時間を与えることができます。


  1. 出身地
  2. 居住地
  3. 出身校
  4. 家族
  5. 好きな食べ物
  6. スポーツ
  7. 趣味
  8. 資格、特技

名刺裏面に記載すべき項目が紹介されていた。たしかに,出身地や居住地,学校が同じだと話しやすい。参考になった。

p. 203: 最強名刺-鉄則5 こだわり度を見せることで、人となりが伝わる-趣味嗜好で会話が盛り上がる仕掛け

魅力的なプロフィールに見せるポイントは3つあります。

  • 箇条書きにする
    並列に並べない。箇条書きにすることで思い入れ度が伝わります。
  • 具体的にすればするほどこだわり度がわかる
    「普通のラーメンよりは○○屋のしょうゆトンコツちょい固めが好き」など。
  • 実績をプラスすることで専門性もアピールすることができる
    早朝ランニングだけでもすごいですが、「早朝ランニング歴15年、毎年ホノルルマラソンを乾燥しています。東京マラソンも走りました」と書くと、走りにこだわっている印象が強調されます。

よくある趣味に読書がある。たしかに,内容を具体的にしてさらに実績まで書くとこだわり具合がわかり,興味を持ちやすいかもしれない。

結論

一般的な内容も書かれていたが,名刺に記載すべき内容について細かく書いてあり,名刺作成時の参考になった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/04/16/