書評☆5 Linux教科書 LPICレベル2 スピードマスター問題集 Version4.5対応 | 解説が充実しており,LPIC-2はこの1冊だけで合格可能

概要

Linuxの技術者の技術者認定資格試験であるLPIC-2の問題集となっている。

LPIC-2は201と202の2科目あり,この問題集はその両方に対応している。2018-08時点での最新バージョンであるVersion 4.5にも対応している。

LPIC 201と202の受験報告は以下にも記している。

LPIC-2の試験では,サーバーに関する内容が多く問われ,日常でLinuxを使っているだけだとまず使わない機能の知識が要求される。実務経験がない場合,合格の難易度は簡単ではないと感じる。

この問題集の特徴は,解説が充実しているところだ。ページ数が550ページほどあり,問題とその解説が同じページで記載されている。解説がけっこう充実していたので,教科書を買わなくてもこの本だけで試験対策ができた。ちなみに,同種のOSS-DB Silverの試験問題集は250ページだ。試験内容,難易度も違うがLPIC-2のこちらの問題集の解説のほうが詳しかった。

なお,Version 4.5に対応している問題集は実質的にこの本しかないので,LPIC-2を受験するなら本書を買うしかないと思う。

問題集の全問題を2-3週して,模擬試験で8-9割以上正解できるならば,実際の試験にも合格できると思われる。

自分の場合は,実務での経験はない状態で,2018-05半ばから試験勉強を開始し,約1.5か月ずつ201と202の範囲の問題集を2週して,模擬試験で8割ほど正答できた段階で受験した。最終的に2018-07-06と2018-08-09にLPIC-201と202を受験して合格できた。うまくやれば,合計2か月でも201と202の両方に合格できると思う。

もっとも,202は試験の難易度がやや高く,模擬試験で8割以上でもけっこうぎりぎり (合格スコア500に対して550点) だった。不安であれば,Ping-tや他の問題集にあたるのもよいかもしれない。

結論

この1冊の問題集をしっかりやりこめば,LPIC-2に十分合格できる。教科書なしでも試験の合格に必要な知識を学べたという点で,この本はとても良かった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2018/10/06/

書評☆3 新しいLinuxの教科書 | Linuxの教科書というよりかはbashの入門書

概要

これから初めてLinuxを触っていく人を対象に,VirtualBoxによるLinux環境の構築から,シェル,各種コマンドの使い方を解説している。

2015年と比較的最近に出版されており,けっこう人気の本みたいだったので気になって読んだ。Linuxの教科書とあったので,Linux特有のネットワークとかシステム周りの基本について書いてあるかなと期待していたのだが,期待はずれだった。

どちらかというと,シェルやCLIについて重点をおいて解説している。

しかし,本書のメインであるシェルに関してだと,「入門bash第3版」や,参考文献にも上がっているブルース・ブリンの「入門UNIXシェルプログラミング」のほうが詳しい。

この本の利点は,以下2点だろうか。

  • 日本人が書いているので,日本語として読みやすい。
  • シェルだけではなく,正規表現や,Vim,はたまたGitコマンドの基本があり,バラエティに富んでいる。

ただ,個人的にはどれも中途半端な感じに思った。どうせこの本単体で満足できないので,それぞれを詳しく解説した本を個別にあたったほうが手っ取り早いように感じた。

ただし,最初の一冊として概観をつかむという意味ではなくはない。

結論

これから初めてLinuxを使う人にとっては,初めてのCLIのインターフェイスに戸惑うことだろう。この本では,浅く広くCLIに関する事項について解説している。最初の一冊として,概観を把握するのにはよいだろう。

しかし,この一冊ではリファレンスとしても,情報の深さとしても物足りない。だいたい把握したら,この本の参考文献にあがっているような,それぞれの項目を単独で扱っている本に進んでみよう。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2018/09/09/

書評☆4 詳解 システム・パフォーマンス | DTraceを使えばパフォーマンス計測は完璧

概要

OSとしてLinuxとSolarisを題材にシステムやソフトウェアのパフォーマンス計測について解説している。

メモリー,CPU,ファイルシステム,ネットワーク,仮想化など広範な領域に対して,パフォーマンス計測の観点や具体的なツールでの計測方法について解説している。どれも詳しくて具体的で役に立った。

iostat, vmstat, sarなど多数のコマンドが解説されている。その中でも,DTraceというD言語ベースのツールが非常に強力だ。このツールの存在は本書で初めて知った。

本書で扱っているほとんどのパフォーマンス計測で,DTraceのサンプルがたくさんあり,おそらくDTraceさえ使いこなせれば,パフォーマンス計測は完璧なのではないかとも思えた。

個人的にはベンチマークの節は物足りなかった。ベンチマークを測るときは,OSやハードウェアのどういう情報を併記する必要があるのか,そしてその情報はどうやって取得すればいいのか,そういう情報があればよかった。

結論

サーバーの保守などでパフォーマンスの計測が必要な場合,この本を手元に置いて読んでおくのが良い。

パフォーマンス管理の戦略を練る際にとても役に立つだろう。本書では,LinuxとSoralisしか対象としていないので,Windowsでも同じような本があればいいと感じた。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2018/07/24/

書評☆3: [試して理解]Linuxのしくみ | 図解をふんだんに用いたLinux機能の解説

概要

OSであるLInuxがどういう仕組みで動いているのかを解説している。この本の特徴は図解をふんだんに用いているところだ。文章も比較的平易で,わかりやすくするような配慮を感じた。

著者の竹内 覚はTwitter上のIT界隈でけっこう有名な人らしく,そこに興味を持って読んでみた。富士通でLinuxカーネルの開発に10年ほど従事し,現在はサイボーズ社の技術顧問についている。仕事でやっているのだから,どうりでLinuxに詳しいわけだと思った。

OSの仕組みを一つ一つトレースしながら解説している。例えば,サンプルプログラムを実行して,CPUの使用率がどうなっているか,メモリーの使用率がどうなっているかを確認している。けっこう細かいところを見ている。

流れとしては,以下がひたすら続いている印象だった。

  1. Linuxにこういう機能があります。
  2. こういう仕組みになっています (図解)。
  3. では実験プログラムで確認しましょう。
  4. そうなったでしょ?

わかりやすくしようと図解を入れているのはいいが,別にそれでわかりやすいとは限らない。

仕組みありきになっていて,あまりよくなかった。なぜこういう機能が存在するのか,何が便利なのか。そういった解説が足りない感じがした。特に,この仕組みが現実世界・実務上どういうときに役に立つのか,大事なのかという視点がもっとほしかった。学校で学ぶなら,別に理論だけしっていてもいいのだが,やはり何に役に立つのかが見えないと面白くない。

また,書籍の構成が上記の流れになっている都合,その場その場で必要なコマンドがとりとめもなく登場していた。例えば,CPU消費量の確認でsarコマンドがいきなりでてきたり,psコマンドでプロセスの使用時間を確認したりなど。

これらのコマンドの紹介も最小限になっていて,リファレンスとしても使いにくい。これらのLinuxのシステムレポート把握のためのコマンドの使い方に1章割いてきちんと解説してくれたほうがよかった。

後半もけっこう細かい話が書いてある。例えば,ファイルシステム。Linuxで使えるファイルシステムはけっこうある。それらを簡単に紹介しているが,結局どれがいいのかというのは曖昧なまま。

全体的に中途半端に感じた。図解をいれてわかりやすくしようとしているのはわかるが,文章のわかりやすさ,筋道の立て方,そして中身の詳しさが合っていないと感じた。せめて,本文中で解説している章はLinuxカーネル公式文書のどこを参照すればいいかを引用してくれたら,不十分なところを辿れるが,それすらない。

また,Linuxの仕組みと言っても起動のブートシーケンスなどはなく,メモリーや,CPU,ファイルシステムなどある程度テーマを絞っていて,網羅しているわけでもない。

結局,なんとなく知るためだけの読み物で終わってしまった感がある。一番良かったのは,あとがきで引用されている書籍だった。本書だけでは,不十分であり,最初からあとがきに書かれている書籍をあたったほうがよかったのではないかと思った。

参考

p. v: はじめに

実験プログラムのソースコードはすべて掲載し、GitHubで公開しています (https://github.com/satoru-takeuchi/linux-in-practice/)。

後で振り返るときに役に立つ。

p. 268: あとがき

最後に、さらなるステップアップを目指すための書籍をいくつか紹介しておきたいと思います。

  • コンピュータの構成と設計 第5版 上・下
  • What Every Programmer Should Know About Memory (https://www.akkadia.org/drepper/cpumemory.pdf)
  • ふつうのLinuxプログラミング 第2版
  • 詳解システム・パフォーマンス
  • Linux Kernel Development

Linuxのしくみについてさらに知るための文献だった。

結論

Linxuの仕組みを豊富な図解とともに解説した本だった。図解を作るのは労力がかかるので,そこは良いと思ったが,内容がいまいちだった。

読み物として,Linuxの仕組みを知るには良かった。ただ,これだけだと不十分なので,詳しくなりたければ,結局あとがきで参照された書籍をあたるしかないだろう。

URL: https://book.senooken.jp/post/2018/07/10/