概要
企業文化を理解し,うまく制御するための方法を解説している。
「組織文化とリーダーシップ」の内容をわかりやすくしたもののように感じた。
文化というのは,組織内で重要であるが,その分析や変革方法についての情報が欠如している。この本では,文化の分析方法や変革方法を具体的な手順を示しており,貴重な資料だと感じた。
参考
p. 21: 文化の3つのレベル
図表2.1 文化の3つのレベル
- 文物 (人工物): 目に見える組織構造および手順 (解読が困難)
- 標榜されている価値観: 戦略,目標,哲学 (標榜されている根拠)
- 背後に潜む基本的仮定: 無意識に当たり前とされている信念,認識,思考および感情 (価値観および行動の源泉)
文物や行動パターンを経験しただけで,その文化について十分知っていることになるのだろうか。それとももっと深いレベルで理解すべきだろうか。もっと深いレベルで理解するためには,組織が価値を置く事柄について質問してみると良い。つまり,なぜこのようなことをするのかを質問してみるのである。
文化の3のレベルが解説されていた。そして,文化を理解するための簡単な質問が提案されていた。会社訪問などで,自社の特徴をアピールしている会社はよくある。なぜこのようなことをするのかを質問するのは悪くないと感じた。
p. 81: あなたの会社の文化を解読する所要時間4時間の演習
- 快適な部屋に集合する。
- ビジネスの問題点を明確にする (30分間)。
- 文化およびその階層構造に関する概念を確認する (15分間)
- 文物を特定し,リストアップする (60分間)
- 組織の標榜された価値観を特定する (30分間)
- 価値観を文物と比較する (60分間)
- 共有されている仮定を評価する (45分間)
- 次のステップを決める (45分間)
企業文化を解読するための演習が具体的に示されていた。
実際の企業では,文物と標榜されている価値観,背後に潜む基本仮定が矛盾していることがある。つまり,オープンな風土を標榜しながら,実際はそうではないということが往々にしてある。これらの3のレベルを突き合わせていくことで,3の背後に潜む基本仮定を特定し,企業文化を解読できる。
p. 152: 変革チームと変革の手順
- 手順1 なぜ,変革するのか?
- 手順2 理想的な将来像とは?
- 手順3および4 現状の評価と計画
- 手順5 移行を管理する
企業文化に変革を起こす際の手順が書かれていた。このような重要であるが,どうしたらいいかわからないことにたいして,手順が示されているのがよかった。
結論
企業文化の解読と変革の手順が書かれており,参考になった。
企業文化は重要ではあるが,目に見えにくく,理解しにくいため,取り扱われず,過小評価されがちだ。この本ではその取り扱い方が書かれている。このような本はあまりないので貴重であり参考になる。
具体的な話や,より踏み込んだ話は「組織文化とリーダーシップ」にもあたるとよいだろう。
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