概要
- 書名: 朝9時10分までにしっかり儲ける板読み投資術
- 副題:
- 著者: 坂本 慎太郎
- ISBN: 9784492733431
- 出版: 2017-07-27
- 読了: 2021-02-21 Sun
- 評価: ☆3
- URL: https://book.senooken.jp/post/2021/02/21/
2年半前に読んだきり,2回目の書評となる。
短期投資を行う上で,板読みについて学びたくなり,インターネットでおすすめされていたため,再読した。
評価
書名通り,朝9時10分までの超短期で勝負する著者が提唱する板読み投資術が紹介されている。
まず,板読み投資術とあるが,板読みに関する一般的な説明はないことに,注意する。
例えば,見せ板だとか,板にまつわる投資参加者の心理状態,原理・原則など,板読みに関する一般的な説明はない。そういう意味で,板読みの情報を期待して読むと,肩透かしをくらう。
あくまで,著者が提唱する短期の板読み売買術が書かれている。
一般的な板読みについて学びたい,本書ではなく「投資家心理を読み切る板読みデイトレード術」を推奨する。
著者の自伝的な内容,精神面の話も多く,本質的な手法については全体の1/3程度で素直に量は少なかった。
それで肝心の投資手法だが,TOPIX採用銘柄のように,アルゴリズムの入っている大型銘柄を除外し,中小型銘柄で,かつ買い板が厚くて売りがほとんどないような,需給のバランスが崩れている銘柄に絞った取引となっていた。
この投資手法は,銘柄選びがほとんど全ての投資術であり,ある意味効率はいい。
投資資金が100万円などある程度用意できて,銘柄選びができるなら,試すのはありかもしれない。
ただし,スキャルピングに近い短期売買になる。株式投資では短期になればなるほど,難易度は上がるので,初心者にはオススメしない。
1週間-1か月くらいの中期投資で,全体のトレンドなどの売買である程度,トレンドを読めるようになってから入ったほうがよく思った。
引用
p. 22: 証券ディーラーとしてデビュー
著者の株式ディーラーとしての始まりが書かれていた。2ちゃんねるに赤木屋証券でディーラー募集の書き込みがあり,2002年8月に応募して合格した。
その際に,証券外務員の試験を受け,2002年11月に株式ディーラーとしてのデビューしたらしい。
ここで証券外務員という言葉が出てきて気になった。
p. 124: 板読みに適した銘柄の見つけ方
ここは本書の核となる節であり,板読み取引で一番重要な銘柄選びについて書かれている。その内容は以下となる。
- TOPIX100銘柄は除外: アルゴリズムが入っており個人では難しい。
- 出来高が最低でも1000単元: 出来高がないと値動きがない。
- 株価が5000円以上: 5000円以上だと呼び値が10円単位で効率がいい。
- ボラティリティの高い銘柄は避ける: 板読みトレードは小さな値幅を狙うので,大損は避ける。
- 値上がりセクターを選ぶ: 全体のトレンドで勢いがあると値動きがある。
これをみてわかる通り,大型銘柄を除外して,中小型銘柄で,かつ需給が崩れた値上がり銘柄にフォーカスをあてている。
p. 148: サラリーマンでもできるデイトレ術
勝負は、わずか10分程度で決まります。前場の取引がスタートする午前9時から9時10分の間に利益確定、もしくは同値で撤退するという方法です。
なぜ前場の寄り付きなのか?それは板が薄いため、10分間という短い時間で利益確定できる可能性が高いからです。
もちろん、そのためには「強い板」を見つける必要があります。復習になりますが、強い板とは、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 買い板が分厚いこと
- 売り板が上に飛んでいること
売り板が上に飛んでいれば、上の株価を買いに来る投資家が出てきたとき、株価は簡単に値上がりして利益確定しやすくなります。
また、買い板が分厚ければ、9時10分までの間にうまく儲からなかったとしても、同値で撤退できる確率が高まります。
本書の取引手法が書かれていた。前述の条件で銘柄を探して,だいたい200銘柄に3銘柄くらいこの条件に該当する銘柄があるので,そこにフォーカスして取引するというものだ。
本書の投資手法は,買い板が厚くて,売り板が極端に少ない,どちらかというと出来高が少ない中小型銘柄にフォーカスしている。
結論
著者が提唱する板読み投資術について解説されていた。
冒頭に記した通り,一般的な板読みの知識についてはほとんど解説されていないので,板読みの勉強には適さないので注意する。
また,本書の投資術が,銘柄選びがほとんど全てで,短期投資は初心者向けではないという2点を理解していれば,やるのはありと感じた。
少ない資金から徐々に挑戦したいと思った。
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