概要
過去に読んだ「人を助けるとはどういうことか」で引用されていて興味を持ち,本書を読んだ。
著者のシャインが実践してきたプロセス・コンサルテーションについて書かれている。プロセス・コンサルテーションの原則を示し,シャインの経験談を元に,どうすればよい関係を築けるかが書かれていた。
読んだ感じだと,けっこう堅苦しい感じで,やや読みにくかった。一般の人であれば,「人を助けるとはどういうことか」をちゃんと読んで実践すれば十分なように感じた。
参考
p. 15: 第1章 プロセス・コンサルテーションとは何か?
当面の質問に答えるのが危険なのは,そうすることで会話は終わってしまい,隠れた問題が表面に出てくるチャンスがなくなってしまうからであう。
支援の関係として,質問に対して回答するものがある。しかし,このやり方はあまりよくない。それがここで書かれていた。よく「質問に対して質問で返すな」とはいうが,質問に対して質問で返さなければ,本当の問題は解決できない。
p. 82: プロセス・コンサルテーションの一般的原則10ヶ条
- 常に柄らになろうとせよ。
- 常に目の前の現実との接触を保て。
- あなたの無知にアクセスせよ。
- あなたのすることはどれも介入である。
- 問題を抱え,解決法を握っているのはクライアントである。
- 流れに身を任せよ。
- タイミングが極めて重要である。
- 真っ向から対決する介入については建設的オポチュニズムであること。
- 全てはデータである。誤りは避けられないが,そこから学習せよ。
- 疑わしい時は,問題を共有せよ。
私の観点からみてうまくいかなかった例では,例外なくこれら10原則うちのどれかを破ってしまっていた。同様に,私は暗礁に乗り上げ,次の何をすべきかわからない場合は,この10原則を思い出すことにしている。
プロセス・コンサルテーションの原則が書かれていた。この10原則がこの本の全てといってもいいだろう。
巻末の12章にもこの原則が簡潔にまとまっているのでこちらも参考になった。
結論
シャインの代表論であるプロセス・コンサルテーションについて書かれた本だった。
援助関係を築くために重要な10の原則を元に,どういう過程でこの原則が導かれたのか,シャインの実体験を元に書かれており参考になった。
ただし,内容はやや固かったので若干読みにくかった。援助関係について知りたければ,「人を助けるとはどういうことか」のほうが読みやすかったので,こちらもオススメしたい。
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