書評☆3 協力がつくる社会 | 協力関係のための7の指針がまとめられた第10章と訳者解説が重要

概要

協力的な社会について,歴史的な経緯やWikipediaやLinuxのような近年特に顕著な協力の事例を取り上げ,人間の考え方や,方法について考察されている。

まず,この本においては「第10章 ペンギンの育て方」と「監訳者解説」を最初に読むことを強く薦める。

なぜかというと,書籍の大半が小難しく細かい議論が展開されているからだ。
人間の考え方などを振り返るのにあたり,リチャード・ドーキンスの利己的な遺伝子の話や他の経済学の原理や心理学の実験などがたくさん引用されており,読んでいてもつまらなかった。この内容がひたすら続くなら,評価は2にしていた。

しかし,最後の第10章でここまでさんざん議論されてきた協力関係のパターンを整理し,協力関係のための指針がまとめられていた。これがよかった。なにせ,このような協力関係のための指針が書かれた本はあまりないからだ。

そして,監訳者の解説が良かった。何回の書籍の大半をうまく噛み砕いて整理しており,最初のこの監訳者の解説を読んだほうがよかったなと感じた。そして,監訳者による本書の問題点の指摘が書かれており,ちゃんと考えて監訳したのだとわかった。監訳者の解説は今まであまり参考にならなかったので,ちゃんと読んでいたのだが,いい解説だった。

なお,副題のペンギンはLinuxのことで,リヴァイサンはトマス・ホッブスの著書 (普遍的利己性を想定するアプローチ) を指している。

参考

p. 229: 第10章 ペンギンの育て方

以下に挙げるのは本書を通じて示してきた証拠に基づき、成功する現実的な協力システムの要素だと私が信じるものだ。

  1. コミュニケーション。
  2. フレーミング、適合性、正真性。
  3. 自分を超えた視点 — 共感と連帯感。
  4. 道徳的システムの構築 — 公平性、道徳性、社会規範。
  5. 報酬と処罰。
  6. 評判、透明性、互恵性。
  7. 多様性を考慮して構築。

ながながと本文の大部分で議論されてきた内容のエッセンスがこの10章に詰められている。これらの要素を振り返り,本文中で取り上げられた過去の現実世界のさまざまな事例を見返すと,目の前の問題に役立てられるところが見えてきそうに感じた。

結論

書籍の大半は小難しくて細かい内容の議論が連続しており,はっきりいって読むのがしんどかった。しかし,これらの大量の事例と議論からまとめられた結論は,根拠があり,有益な結論だった。もう少しわかりやすくまとめてくれていれれば文句なかった。

自分で組織を率いるときやサービスを作るときなど,こうした要素を考慮して検討できれば,協力関係の得られるよい成果が得られるだろう。なかなかこうした情報が得られないので,貴重な本だった。

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書評☆3 協力する心の科学 | ただひたすらに協力に関する研究を紹介

概要

心理学者による,協力に関するさまざまな研究を紹介本となっている。

ただひたすらに協力に関するいろんな研究の事例を紹介している。いろんな研究があるのだなとは思った。

ただし,本当に事例の紹介しかしていない。しかも,ある研究結果に対してそれに対する反論の研究まで紹介している。公平性という観点ではいいのだが,では結局どうなのかというのがわからなかった。

事例を踏まえて,どうすればいいのかという著者の意見がなかったのが最大の欠点だった。

結局どういうときにどういう方法を取ればいいのかというおそらく多くの人が知りたい結論は書いていなかった。ただひたすら事例が紹介されていた

せっかくここまで調べたのだから著者の意見がほしかった。

結論

読みやすい文体だったのですらすら読めた。最後に著者の見解やまとめがあるかと思っていたのだが,そうした類のものはなくただひたすらに事例が紹介されていた。

参考文献も巻末にあったので,心理学を勉強している学生や研究者にとっては,いい資料となるだろう。ただし,一般人にとっては最後の結論がほしかった。何でもいいから著者のまとめがほしかった。これがなかったのが残念だった。

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書評☆3 フリーランスのための一生仕事に困らない本 | フリーランスに必要なスキルの整理,マーケティング,財務管理の指南

概要

税理士として独立している著者により,フリーランスとして仕事をやっていく上で必要な仕事術が書かれている。

内容は以下の3部になっていた。

  1. スキルの整理
  2. マーケティング
  3. 財務管理

書いてあることはけっこう一般的なことがほとんどで,特に目新しいところはなかった。

ただし,書籍のレイアウトはフレーズの歯切りが良くてさくっと読み進めることができた。

また,2. のマーケティングでプロフィール,実績,連絡先をホームページに掲載することの重要性が書かれており,そういえば放ったらかしだったなと思い直すことができた。

結論

書いてある内容はけっこう一般的でそこまで深い内容はない。ただし,書籍のレイアウトが見やすく,さくっと読み進められたので,自己啓発の一環としてまあまあと思った。

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書評☆2 フリーランスで生きるということ | 文系記者によるいろんな業界のフリーランスへのインタビューと考察

概要

フリーランスとは何であるかを考察した本となっている。

フリーランスとはなにか、フリーランスで仕事をしていくことについて一般的なことが書かれている。例えば以下のような内容が書いてあった。

  • どういう業種があるのか
  • フリーランスと雇用形態だとどう違ってくるのか
  • 税金などお金処理

冒頭でフリーランスとは何であるかをアメリカやヨーロッパでのあり方などと対比させて,日本でのフリーランスについて書かれている。

半ばでいろんな業界のフリーランスへインタビューを行っており,それぞれの業界でのフリーランスの仕事のありかたなどが書かれている。ここがボリュームとして一番多かった。

その後,フリーランスで働く上で必要な事務手続きや心構えなどが書かれていた。

法学部出身のいかにも文系の記者が書いたような内容になっている。インタビューと自分で考えたことや雑多な情報誌などから知ったことがとりとめもなく書かれている。

いろんな業界でのフリーランスの仕事の大雑把な雰囲気を伺えるのは良かったが,全体的に中身が薄く,あまり読んでもためにならなかった。

結論

いろんな業界のフリーランスの雰囲気を気軽に知るのにはいい。ただし,全体的に内容が薄く,あまり参考にはならないと感じた。

読み物や教養として,さっと読むような本だった。

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書評☆4 システム開発 受託契約の教科書 | SES契約を含む受託契約全般のポイント解説・契約書のDL提供のITフリーランス必須本

概要

システム開発受託契約に関する契約書の例とそれをもとに,契約の条鋼後とのポイントを解説してある。

解説されている契約は以下の10例だ。

  1. ソフトウェア開発基本契約書 (多段階契約)
  2. ソフトウェア開発契約書 (請負一括型)
  3. 業務委託契約書 (要件定義・準委任契約)
  4. 業務委託基本契約書
  5. ソフトウェア開発基本契約書 (アジャイル開発)
  6. コンサルティング業務委託契約書
  7. システム保守委託契約書
  8. SES基本契約書
  9. ソフトウェア使用許諾契約書
  10. 労働者派遣基本契約書

契約書例のMicrosof Wordファイルを読者特典として提供されているのがとてもありがたい。

個人的には,SES基本契約書について解説されているのがありがたい。実際に,自分でITフリーランスとして活動する場合,契約書をどうするかという問題が発生する。その場合のサンプルとしてとても参考になる。

SES基本契約以外に関しても一般的な受託開発で発生するものであり,それぞれ共通する考え方の部分があるので,参考になった。

結論

色がついており,見やすいレイアウトで受託開発に関する契約の条項が解説されていた。SES契約も解説されており,サンプルの契約書をダウンロードできるのがとてもよかった。

ITフリーランスを考えているならば,一冊手元に必要だろうと感じた。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/06/07/

書評☆2 フリーランスSEとして生きる道 | フリーランスSEとしての自己啓発本

概要

フリーランスSEとして行きていく上での心構えが書かれている。

他の人へのインタビューの内容も掲載しながら,検討,準備,安定化などが書かれている。

勝ち残りSEへの分岐点」がまあまあよかったので,興味を持って読んだのだが,内容がいまいちだった。

書かれている内容が心構えだけで,具体的なことがあまり書いていなかったからだ。具体的に,フリーランスではどのように仕事を取るのか,どういう流れになるのかといった具体的なところがなかった。ここが知りたかった。

一般的な事柄と著者のポジショントーク的な内容が大半を占めており,300ページとそれなりの文量にも関わらず内容はあまりなかったように感じた。

結論

フリーランスSEとしての心構えが書いてあった。ただし,具体的な仕事のとり方があまりなかったので,自己啓発本の域をでなかった。

勝ち残りSEへの分岐点」がまあまあよかったので期待していたのだが,期待はずれだった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/06/06/

書評☆3 勝ち残りSEへの分岐点 | 「たかが履歴書1枚されど履歴書1枚」を充実させるための資格の重要性

概要

SEとして成功していくためのコツが書かれている。

基本的に筆者の経験に基づく内容がほとんどだ。だが,参考になるところがあった。

この筆者の主張で一番印象になったのは,勉強 (資格取得) の重要性だ。資格試験,特にIPAの情報処理技術者試験に関しては,40年もの間多くの人々が効率的にスキルを身につけるための方法論が凝縮されている。したがって,資格試験を取得することは,効率がよいので是非受験しようということだった。

また,たかが履歴書1枚だが,されど履歴書1枚を充実させるために努力するのも大事だなと感じた。

参考

p. 75: 「自分に何ができるか」を正確に把握

Aさん: 私の場合、転職先の会社には、処遇や待遇よりも、自分何が求められているかを具体的に確認しました。そして、自分がそれを提供できるかどうかを考えていから転職しました。このあたりが失敗しなかった大きな要因だと思いますね。


Cさん: そうそう、失敗する人って「次の会社では、何をやらせてもらえるのか」とか、「どんな仕事やポジションが与えられるのか」とか、自分のことばかり聞くよね。


今、この年齢になったら分かるけど、 "(自分が) 何をしたいのか" ではなくて "何ができるか" で転職を考えないと絶対に失敗しますね。他人を満足させることができる人が "プロ" だということを忘れないようにしないと。

自分にこういう視点が欠けていた。

p. 157: プロジェクトマネジメントスキルの習得方法

筆者は、これまでの経験から次のような方法がベストだと考えています。。

  1. PMBOKでプロジェクトを成功させるための方法論 (理論、プロセス) を習得する
  2. 情報処理技術者試験プロジェクトマネージャーの午後Ⅰ/Ⅱ問題を使って、基礎的な状況対応の方法論 (知識) を習得する
  3. 一定の知識/理論が身についた上で、プロジェクトメンバの視点から先輩諸氏のノウハウを盗む。すなわち、他人の経験から学ぶ (理論や基礎知識がないと、そもそも先輩の行動とその狙いが理解できないため、1と2が必要になる)。低レベルの失敗がなくなる
  4. 十分な準備 (123) を経て、プロジェクトマネージャーとしてデビューする。ここで自分の経験をする
  5. 最後に、経験を積んだ上で資格を取得する (プロジェクトマネージャは自分の言葉に説得力を持たせなければならないため、資格は必須)

今までの現場では使えないPMがけっこういた。しかし,PMの勉強方法なんて誰も教えてくれないし,必要になる前に勉強はたしかに必要だ。PMの勉強方法の参考になった。

p. 180: ビジネスマネジメントスキルの習得方法

金融業のシステムを担当するSEのAさんは、中小企業診断士のテキスト (1次) を使って経営に関する知識を身に付けたそうです。残念ながら、まだ資格取得には至っていませんが、経営者と話をする上で大変役に立っているといいます。

中小企業診断士に興味を持った。

結論

勉強の重要性,資格試験の重要性を再認識できた。その他,PMの勉強方法が書いてあって参考になった。

学び続けることが大事だなと感じた。今後も資格試験はどんどん挑戦していこうと思った。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/06/05/

書評☆3 ITビジネスの契約実務 | 実務従事者向け契約条項ごとの解説

概要

ITビジネスでよく締結される以下の契約について,条項ごとのポイントを解説している。

  • ソフトウェア開発委託契約
  • ソフトウェアライセンス契約
  • システム保守委託契約
  • クラウドサービス利用規約
  • 販売店契約・代理店契約
  • データ提供契約

また巻末にはこれらの契約例全文が掲載されており,実際の契約書の作成の参考になると感じた。

SES契約について興味があって読んだのだが,SES契約については数ページ記載があるだけで物足りなかった。

どちらかというと,IT企業の法務部向けの内容だと感じた。

参考

p. 37: SES契約の注意点

偽装請負との評価を回避するためには,契約の条項のみならず,実態においても,注文者と労働者との間に指揮命令関係を生じさせないことが重要である。具体的な判断基準は,旧労働省告示 (労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準 (昭和61年労働省告示37号) および厚生労働省のガイドライン (労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド) おいて,整理されている。

SESでよく問題になる偽装請負の判断基準の資料が書かれており参考になった。

結論

ITビジネスに関するよくある契約形態の契約条項についてポイント解説されていた。IT企業の法務部門に勤務していれば,実際の契約書作成などで参考になると感じた。

ただし,一般社員が読んでも余り意味はなく,SES契約に関しても解説も少なかったので,ややいまいちだった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/06/04/

書評☆4 エンジニアがフリーランスで年収1000万円になるための稼ぎ方 | エージェントの選び方からスキルシートの書き方まで

概要

日立系のSEとして10年以上勤務後,リストラによりフリーランスとして活動している著者によるITエンジニアがフリーランスとして活動する方法について解説された本である。

出版が2016年であり,現在一般的な準委任契約のエージェントを使ったフリーランスの形態について解説してある。

そのため,内容が今でも十分適用可能なものであり,参考になった。

著者の実体験に基づき,エージェントを使った常駐型の仕事のスタイルを勧めており,その個人と企業にとってのその利点が書かれており納得できた。

また,スキルシートのかきかたについても具体的にどういうことを書けばよいか書かれており参考になった。

現在,SESの企業に勤めており,担当営業にスキルシートの内容についてどのようなことを書けばいいかその都度質問したが,何の参考にもならない回答しかなかった。ここだけでもこの本を読んでよかったと感じた。

参考

p. 40: 仕事の獲得方法は「自分で営業」「クラウドソーシング」「エージェント」の3つ

フリーランスが仕事を獲得する方法は各種ありますが、えージェンをと経由して紹介してもらうのが最もかんたんであり、手堅いことは明白です。仲介手数料は発生しますが、それはクラウドソーシングでも同じ。自分で営業しても、「自分の人件費」がかかります。「客先に常駐したくない」すなわち「どうしても自宅でやりたい」というこだわりを捨てれば、常駐案件ほどラクな待遇はありません。決まった時間作業すれば、確実にお金がもらえるのですから。

フリーランスでなぜエージェントを使うのかという理由がわかった。

p. 76: 個人なら値切られる「保証料」がエージェントには上乗せされる

フリーエンジニアとの契約においては、企業側も「エージェントを介したほうが安全」だと思っているようです。


個人と直接契約するのはリスクと考えます。そのエンジニアが逃げてしまうなどのトラブルが発生したとき、間に入ってフォローしてくれる、もしくは代替要員を紹介してくれる存在がほしいのです。よって、エージェント経由のほうが企業も安心。その「保証料」を上乗せして払っている分が12万円です。

つまり、「エージェントを介さずに直接契約すれば、エージェントの取り分も自分の懐に入る」というのは、エンジニアの勝手な思い込みに過ぎないのです。

企業がエージェントを利用する理由がわかった。

p. 93: 「オメガ・サーチ」で案件を一括検索すれば効率的

インターネットで案件を調査する際、便利なサイトがあります。グーグルで「IT案件検索エンジン」と入力すれば「オメガ・サーチ (OMEGA-SEARCH)」というサイトが上位に出てきます。このサイトを使えば「複数のエージェントが後悔している案件情報」を横断的に、一括して検索できます。


たとえば「最近の案件では、GitとSVNは、どちらが多く使われているのか?」おいった傾向を知りたい場合。それぞれのキーワードで検索して、ヒット件数が多いほうが、「より多くの現場で使われている」ことになります。

案件を検索できる検索エンジンがあることを初めて知った。

p. 119: 好印象を与えるスキルシートの書き方

  • 期間
  • 業務内容
  • 役割
  • 使用言語
  • データベース
  • サーバーOS
  • ミドルウェア
  • ツール

スキルシートの具体的な内容が書いてあって参考になった。

結論

ITエンジニアとしてフリーランスでやっていく上でのメインのやり方が書かれていた。IT業界でフリーランスのやり方としてこの方法は主なものなので,フリーランスを考えているなら,読んだほうがいいと感じた。

また,SES企業に勤務しているITエンジニアも知っておいたほうがいいと感じた。エージェントとの付き合い方やスキルシートの書き方など,参考になる部分は多いと感じた。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2019/06/03/