概要
- 書名: 改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント
- 副題: 経済的自由があなたのものになる
- 著者: ロバート・キヨサキ
- ISBN: 9784480864253
- 出版: 2013-11-10
- 読了: 2021-04-05 Mon
- 評価: ☆5
- URL: https://book.senooken.jp/post/2021/04/05/
評価
以前書評を書いた与沢翼の本で、彼がこの本を読んでいたので、興味を持って読んだ。
以前にも書評を書いた金持ち父さん貧乏父さんの続編となる。2009年の大学2年生のときに金持ち父さん貧乏父さんを読んだときは、続編があることを知らなかった。そのため、だいぶ時間が経ってからの読了となった。
内容としては、金持ち父さん貧乏父さんの内容からさらに踏み込んだものになっており、収入の形態としてESBIの4象限があり、ESとBIは非常に大きな違いがあり、経済的自由を得るにはBIになる必要があるという内容だった。
特に、このESとBIには非常に大きな違いがあるというところが衝撃的だった。後で引用もするが、ESとBIの違いは、仕事を変えるとかそのレベルではなく、根本的な物事の考え方が違う。そのため、この考え方ができている人間はごくごく一部であり、例えば職場の同僚などの考え方が参考にならないのはこのためだ。
本書ではBができればIもスムーズに実現しやすいとのことから、Bの話がやや多かった。その中で、一般人がESからBになる方法として以下の3通りの方法を挙げており、参考になった。
- 起業
- フランチャイズ (FC)
- ネットワークビジネス
1の起業は王道だが、一番難しい方法だ。一流企業で何年も就業経験を積んだり、MBAを取得したり、直接社長などから指導を受けるなどする必要がある。楽天の三木谷やソフトバンクの孫など有名起業家はこのケースが多い。ただし、これは一般人が実現するにはかなり難しい。
となると、残りはFCとネットワークビジネスとなる。ただ、ネットワークビジネスは日本ではことさら風当たりが強く、実質的にFC一択となる。最近だとアフィリエイトだとかも第4などの方法で上がるかもしれないが、FCは昔からあって手堅いように感じた。
この本を読んだことで、自分の中の視点が大きく変わった。例えば、このままサラリーマンや個人事業主を続けたって、それは同じESの延長でしかない。そういう意味では平社員も部長も違いはない。いくら会社内で偉そうにしていようが、ESという点では根本的に違いはない。兼業投資家として、Iを目指すのはもちろんありなのだが、やはりBを目指すのが大事に思った。
また、ESとBIとで根本的な考え方が違うという点が明確に強調されていたのも良かった。だから、ESの親だとか友人だとかの話は全く参考にならないことがはっきりわかった。なぜなら、ESの人間とBIの人間とでは根本的な考え方が違うから。ESの人間の話に従ったり、一緒にいる限り一生BIになることはできない。
参考
p. 38: あなたはどのクワドラントに属しているか?
キャッシュフロー・クワドラントは収入を得るための、つまりお金を生み出すための四つの異なる方法を表している。
収入を生み出す方法が違えば、そのために必要な心構え、技術、教育も違ってくる。クワドラントはそれぞれに異なるタイプの人をひきつける。
- E: 従業員 (employee)
- S: 自営業 (self-employed)
- B: ビジネスオーナー (business owner)
- I: 投資家 (investor)
本書が提唱する重要な概念の説明だった。
p. 49: クワドラントが違えば人間も違う
この節では、題名通りクワドラントごとに人間のタイプが違うということを説明していた。
お金と感情への対応が異なり、これが大きな影響を与える。例えば、お金を失ったり失敗したとき、安全を求めるのか、自由を求めるのか。
人は変わることができるが、クワドラントを変えるのは会社や職業を変えるのとは訳が違う。自分の本質、考え方、世の中に対する見方を変えなければならないこともよくある。こういった変化を受け入れられるかどうかは人によって違う。
p. 58: 他人の力を最大限に引き出すのがリーダーシップ
この節では、リーダーシップを学ぶ上で、マーシャ・ブラウンが書いた "Stone Soup" (石のスープ) という子供向けの本が紹介されていた。
p. 87: お金がしかける罠
キャッシュフロー・クワドラントの右側で成功するには、ファイナンシャル・インテリジェンスと呼ばれるお金に関する知性が必要だ。金持ち父さんはファイナンシャル・インテリジェンスを次のように定義していた – 「ファイナンシャル・インテリジェンスで肝心なのは、お金をいくら儲けるかではなく、どれだけのお金を自分のものにしておくことができるか、そのお金をどれくらい効果的に働かせることができるか、そして、それを何世代にもわたって続けることができるかだ」
大切なことなのでもう一度言っておく。キャッシュフロー・クワドラントの右側で成功するためにはファイナンシャル・インテリジェンスが必要だ。基礎的なファイナンシャル・インテリジェンスがなければ、右側のクワドラントで生き残ることはまずできない。
ファイナンシャル・インテリジェンスについての説明だった。
p. 104: あなたを金持ちにするのはあなたの仕事
「金持ちと貧乏な人の唯一の違いは、暇な時間に何をするかだ」
でも、次のことは覚えておいてほしい。仕事を終えたあと、自分が稼いだ給料とあまった時間を使って何をするかであなたの未来が決まる。
金持ちと貧乏人の決定的な違いが書かれていた。
また、ここではESBIのうち、最初はBを目指すことを推奨していた。これは、Bで成功できればIでも成功しやすいからだ。
p. 110: 第4章 ビジネスシステムを手に入れる
この節では直前で推奨していたBの実現方法を説明していた。
Bを実現するには以下の3種類がある。
- 昔からある「Cタイプ」の会社 – 自分で独自のビジネスシステムを作り上げる
- フランチャイズ – 既存のシステムを買う
- ネットワークビジネス – お金を出して既存のシステムの一部となる
そして、Bの成功には、システムと人間の2個の大きな変数が大事になる。
p. 114: ビジネスオーナーになる方法をどうやって学ぶか
ただ、このようなチャンスは多くの人にはない。普通の会社の管理職訓練プログラムもこれにはあたらない。
短期間でBに移動するには、先の3種類の方法ごとに異なる方法がある。
1点目のCタイプの場合、師匠を見つけるか、会社で長い経験を積むかのどちらか、またはその両方が必要になる。
既にBの人から学べると良い。ただし、Sの人がBやIになることをアドバイスしていることが多いので、本人がBであるかどうかの見極めが大事。
そのほかの伝統的な方法として、MBAをとり、出世街道を猛スピードで走っていける会社に就職することだ。MBAで基礎知識を学んで、実務で10-15年働いて全ての側面を学ぶことでスタートできる。
ただ、これらをこなしたとしても、自分のビジネスシステムを新しく作るのはかなりの努力が必要となる。
2点目は、フランチャイズ権を購入することだ。これはいわば、試験済みのシステムの購入を意味する。よく探せば、しっかりしたフランチャイズの店はたくさんある。
フランチャイズを買う場合、システムはできあがっているから、人間の組織に専念できる。購入したらEに徹してビジネスシステムについて学ぶ。余計なことはやらないで言われた通りのことをする。
あたりまえのことだが、たとえどんなに上手に歌が歌えても、マーケティングのシステムや財務・会計のシステム、セールスのシステムなど、ビジネスを維持し成功させるためのたくさんのシステムについてわかっているとはかぎらない。ビジネスが継続、繁栄するためには、すべてのシステムが百パーセント機能し、そのことが把握できる状態になければいけない。
3点目は、ネットワークビジネスに参加してビジネスシステムを手に入れることだ。フランチャイズも最初は非合法扱いだったが、ネットワークビジネスも非合法になっているところがある。
新しいシステムやビジネスはどんなものでも、はじめは「うさんくさい」と思われることが多い。ネットワークビジネスは個人的なフランチャイズに近い。フランチャイズ店の権利の購入には百万ドル以上かかる場合もあるが、ネットワークビジネスだと二百ドル以下で参加できる。
キャッシュフロー・クワドラントの右側に移動するのに役立つネットワークビジネスを見つけたいと思っている人は、商品よりもその会社がディストリビューターのために用意している教育に焦点を合わせてさがすといい。Bとしての成功に必要不可欠な以下の2点を学ぶ。
- 断られることに対する恐怖を克服する方法を学ぶ必要がある
- 人のリーダーになる方法を学ぶ必要がある
左側から右側のクワドラントへの移動で大事なのは、「何をするか」ではなくて「どんな人間になるか」だ。断られることに対する恐怖心を克服し、他人が自分をどう思うかなど気にせず、人をリードする — この三つの方法をマスターできれば富を手に入れることができる。
私がお勧めする組織は次のようなところだ。
- 実績があり、販売システムや補償制度がしっかりしていて、長年にわたってうまく機能している組織。
- 成功の見込みがあり、信じてついていけると感じられ、組織内のほかの人たちと信頼しあって仕事ができる、そんなビジネスのチャンスを与えてくれる組織。
- あなたを人間として成長させてくれるような、長期的な教育プログラムを常に行っている組織。キャッシュフロー・クワドラントの右側においては、自分に自信を持つことが不可欠だ。
- 「よき師」による教育プログラムがしっかり確立している組織。あなたが学ぶ必要があるのはリーダーからであって、アドバイザーからではない。キャッシュフロー・クワドラントの右側ですでに成功しているリーダーで、あなたの成功を願っている人、そんな人が最高の師だ。
- あなたが尊敬でき、いっしょにいて楽しいと思える人たちがいる組織。
会社が取り扱っている商品について検討するのは、いまあげた五つの条件をすべて満たすことを確かめてからでいい。Bとして成功し、そこに長くとどまりたいと思っているのなら、商品よりもシステム、教育、人間といったものの方が重要だ。
もう一度繰り返すが、ネットワークビジネスでの成功の最大の鍵は、あなたを優秀なビジネスリーダーに作り変えることに、あなた自身とその組織がどれほど強い決意と長期的展望を持って取り組んでいるかにある。
著者は一から成功するシステムを学び、作りだしたが、どんな苦労も厭わないと心から思っていない限り、ゼロからシステムを作り出すのはやめた方がいい。フランチャイズとネットワークビジネスの登場によって、システムを自分で作り出すのに伴う苦労も取り除かれた。すでに効果の立証済みのシステムを買ったあなたは、そのシステムのために働いてくれる人間を集めさえすればいい。
ここでは具体的にBを実現するためのとっかかりとして、勉強方法について説明されていた。
著者の場合、既にBの金持ち父さんからOJTで直接学ぶことができた。親から子へ事業継承もたいていこの方法だ。
長くなったが、一般人がBになる方法が説明されており、極めて重要に感じたので引用した。
p. 191: 第七章 なりたい自分になる
「お金には人を中毒にする力がある。その力に気をつけろ」金持ち父さんはよくそう言っていた。「お金をもらうことに慣れてしまうと、知らないうちに中毒になり、それを手に入れた方法にしがみつくようになる」
「左側から右側に移るときにいちばんむずかしいのは、それまで自分がお金を稼いできた方法にしがみつく気持ちを断ち切ることだ。それは単なる習慣から抜け出すよりむずかしい。中毒から抜け出さなくてはいけないのだから」
会社員でいれば給料という安定した収入があるので、この習慣・中毒から抜けるのは相当難しい。ESとBIとで根本的な考え方が違うというまさに典型的な例だった。
p. 210: 第八章 どうしたら金持ちになれるか
金持ちと同じことをするのは簡単だ。
ナポレオン・ヒルの書いた "Think and Grow Rich" (頭を使って金持ちになろう) という本はすばらしい本だ。一読の価値がある。
金持ちになりたかったら、頭を使う必要がある。みんなの考えについていくのではなく、自分自身で考えなければいけない。私は、金持ちが持っている最大の資産は人と違った考え方をすることだと思っている。ほかの人と同じことをしていたら、ほかの人と同じものしか持てない。そして、その「ほかの人」の大部分が持っているものといえば、長年にわたる重労働と不公平な税金、そして一生返済を続ける借金だけだ。
「キャッシュフロー・クワドラントの左側から右側に移るには何をしたらいいですか?」この問いに対する答えはこうだ — 問題なのは「何をするか」ではなく、「どう考えるか」だ。つまり、右側に移るために必要なことをするためにはまず「どんな人間になるか」が大切だ。
これもまた根本的な考え方が違うことを示す例だった。例えば、宝くじなどで大金が手に入ったとしても、それをそれ以上増やすことは難しい。増やし方を知らないから。
他の人の大半がESだから、他の人と同じでいることに満足したら、BIにはなれない。
結論
ESとBIという経済状況として、決定的に異なる2個の対立軸から、特にBになるための考え方について記された非常に良い本だった。
前著の金持ち父さん貧乏父さんと比べ物にならないほどの非常に大きな衝撃を受けた。間違いなく2021年で一番の本になるだろうし、今後の自分の人生の大きなターニングポイントになったと思った。
極めて重要なので何度も繰り返すが、ESとBIは転職程度では済まない、極めて大きな考え方の隔たりがある。これが非常に良かった。
また、一般人がBになるには今のところフランチャイズしかないというのも頷けた。
これをベースにBとIについて実際に行動を起こしていこうと強く思った。
自分の人生を変えるだけの影響を持った素晴らしい本だった。
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