☆2:死刑執行人の歴史と問題提議
他人に命令されて他人を殺すという,人の生死を扱う中で異質な存在である死刑執行人について,その問題点と歴史について考察されている。
問題提議やその歴史について調査するという着目点はよかったのだが,本文が読みにくかった。結局何が言いたいのかよくわからなかった。文系の研究で個人的によくみかける例だが,小難しく書いたり,不必要に文献を引用(例えば,文藝春秋のような学術的な論考があまりない大衆雑誌を引用)して無駄に長ったらしく書かれている。
修士論文をベースに加筆して作られたとのことだが,商業誌として一般向けに出版するならば,図表を使って論点を可視化するなど,もう少し読者が読みやすいように心がけてほしかった。
参考箇所
p. 102: 4 イギリスとの比較
イギリスの死刑問題を大きく動かしたのは、ティモシー・エヴァンズ事件だった。この事件はいわゆる冤罪事件であり、自分の妻子を殺害した罪で1950年に死刑になったティモシー・エヴァンズが、実は無罪だったことが死刑執行から3年後に判明した。
イギリスで死刑が完全に廃止されたのは1998年5月のことである。
そもそも死刑制度の是非について自分の中でよくわかっていなかったので,イギリスで死刑が廃止されている事実とその背景についてしれたのは参考になった。
まとめ
死刑制度を考える上で一つ参考になる本ではあると思った。さらに,死刑執行人というかなりニッチな分野に特化しているので,このあたりについて考えるときは貴重な資料になると感じた。
ただし,本文は読みにくいので,あまり気軽には読めないので,注意したほうがよい。
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