書評☆3 IoTで激変するクルマの未来 | 自動車業界従事者必見!車載OSをめぐるGoogle vs. トヨタの構図など自動車業界の動向解説

概要

近年のAIやIoT,自動運転といったトレンドにより自動車業界は大きく変わろうとしている。

この本ではこれらの背景や経緯,各社の動向などを解説している。

個人的には,車載OSをめぐるGoogleとトヨタの対立構成や,自動運転と無人運転の違いなど,いくつか今まで理解していなかった話題を知ることができて有益だった。

ただ,大半は自動車業界の動向でやや興味関心の薄い話題だった。

参考

p.061: グーグルvsトヨタ 車載OSの覇権争い

2013年半ばから2014年初頭にかけてのアップルとグーグルの自動車産業への本格進出は、トヨタをはじめ日系自動車メーカーを驚かせた。

2013年6月、アップルはiPhoneと車載器の連携システム「iOS in the car」を発表。これに対抗してグーグルは2014年1月、GM、ホンダなどの自動車メーカーや半導体大手のエヌビディアとテレマティクスに関するコンソーシアム「オープン・オートモーティブ・アライアンス (OAA):を立ち上げた。その後、アップル「iOS in the car」の具体的なサービスとして「カープレイ」、そしてOAAの協議に基づく車載器とスマートフォンとの連携サービスの「アンドロイドオート」を次々を発表した。


一方トヨタは独自の車載OSを構築するという大規模な構想を推進し、グーグルを牽制している。それが、Automotive Grande Linux (AGL) だ。近年、家電、パソコン、ロボット、そしてドローンなどでは、OSのオープンソース化の動きが急速に進んでいる。その基盤となるのがLinuxだ。

LinuxCon JAPAN 2016に参加したことがある。そのときに,Automotive Grande Linuxのキーワードをみており,頭に残っていた。この本を呼んで,なぜこのような動きがあるのかがよくわかった。自動車業界にGoogleが参入してきており,車載OSにAndroidを入れようとしている。車載OSの主導権をGoogleに握られることを防ぐために,LinuxベースのAGLという動きがあることがわかった。

p. 122: 大きく異なる自動運転と無人運転

自動運転は自動車メーカーが推奨する考え方で、俗に言う自動ブレーキなどの高度運転支援システム (Advanced Deriver Assistance System/ADS) の延長線上に据えられている。


自動化レベルの最上位である完全自動運転とは,高度な簡易自動運転の状態から運転者が専用ボタンを押すなどして「自分の意思で自動運転モード」に切り替えることを前提としている。その反対に、何らかの理由で自動運転モードを解除して手動運転が必要となる場合もある。こうした簡易自動と完全自動との間を行き来することを、自動車技術者は「オーバーライド」と呼ぶ。


一方、グーグルカーやロボットタクシーなどは「オーバーライド」を最初から考慮していない。最初から完全自動運転を目指すものであり、簡易的な自動運転をする運転者がいない「無人運転」という解釈だ。

つまり、オーバーライドの有無で、自動運転と無人運転に分類されるのだ。

自動車の自動化を考える上で,重要な自動運転と無人運転という概念を知ることができた。

自動運転の場合,「オーバーライド」を考える必要がある。つまり,ドライバーの健康状態を把握する必要があり,運転者に飛行機のパイロットのような管理義務の検討など,課題が存在する。

一方,無人運転の場合,周囲の手動運転車からは異質な存在となる。手動運転車は法定速度を超過した速度での運転や,飛ばした運転,いい加減な運転が横行している。交通の流れに乗ることなどが難しく,手動運転車の中に無人運転が混ざると問題が発生する。

p. 186: 「高齢者の数が急増する」という誤解

一般的にも近い将来に「高齢者の数が急増する」と思っている人が多い。だが現実は違う。それは、総務省がまとめた「高齢化の推移と将来推計」を見ると一目瞭然だ。結論から言えば、今後高齢者の数は2040年頃をピークに微増が続き、その後は微減になるだけで,高齢者の数が急激に増えるという言い方は正確ではない。


こうした統計を踏まえて考えると、高齢者向けの交通施策やビジネスを考える場合、2015年時点で成り立たなければ、将来的にも顧客層数が急増することがないため、いつまでたっても成り立たない。

なんとなく自分も高齢者の数が増えていくのかと思っていた。これ以上高齢者の数は大きくは増えないというのは参考になった。

結論

自動運転を中心に,自動車業界に起こっていることが解説されており参考になった。

IoTについてはそこまで触れられておらず,書籍の半ばは自分にとってはやや退屈だった。

自動車業界に従事している場合,近年の動向や今後の動向を把握する上で役に立つので,読んでおいたほうが良いと感じた。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2018/11/21/

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