概要
囲碁AIに打ち込む中小企業代表である著者による,なぜ日本がIT技術の分野を牽引できないかを考察した本となっている。
書籍は以下の3部構成になっていると感じた。
- 囲碁AIに取り組む著者の自伝
- 過去の日本のIT政策
- 今後
個人的に興味を持ったのは,2の過去のIT政策の話だった。JASPA (全国ソフトウェア協同組合連合会) 会長の安延 申,ゲーム情報学の第一人者の松原 仁,TRONプロジェクトの坂村 健の3者へのインタビュー内容を元に書かれている。
日本で過去にどのような取り組みがあったのかが知れて参考になった。
政治家や会社の代表など,社会をリードする立場に技術の分かる人がいないので,他国のIT企業に遅れているというのが,著者の主張であり,確かにその面はあると思った。
ただし,この問題の解決策について言及がなかったのが残念だった。結局のところ,IT技術者出身の経営層や政治家が出てこないといつまでたっても状況は変わらないだろう。
結論
囲碁AIに取り組む著者の日本のIT業界に対する問題を知ることができる本だった。自叙伝的な内容が多かったが,過去の日本のIT政策なども知れたので教養は深まった。
解決策が書かれていないのが物足りなかった。教養の範疇を越えることはなかった。
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