概要
前著のアイデア大全を発展させたような感じで,今度は問題を解決するための技法をまとめて紹介している。
アイデア大全よりも一つ一つの方法の解説が詳しくなっており,よかった。
また,読者特典のひと目で分かる問題解決ステージマップもよかった。方法論はわかったが,いつどの方法を使えばいいかという重要な観点が本書内には欠けていたからだ。
参考
p. 041: 03 ノミナル・グループ・プロセス
- グループづくり
- アイデア抽出
- アイデア発表
- アイデア整理
- アイデア議論
- 投票
- まとめ
書籍冒頭で,いきなり集団での問題解決に有益な手法の解説がありよかった。
1-5まではやるが,6の投票は思いつかなかった。ここまでやれば,全員の参加ができ,いい議論ができそうだ。
p. 101: 09 文献調査
- 目標と現状を確認し問題を定義する。
- 問題や目標、現状に関連する事項 (関連事項) を次の「関連事項・文献表」の左端欄に書き込む。
- 関連事項のそれぞれについて探索する分野、主題語、図書館分類を記入する。
- 分野がまるでわからない場合に手っ取り早いのは、国会図書館サーチ (http://issndl.go.jp) での関連事項の検索である。
- 関連項目がどの分野に属するかは、国会図書館リサーチ・ナビ (http://rnavi.ndl.go.jp) で検索すると以下のようなテーママップが表示されるので参考にする。
- 文献を検索して入手し、資料名や得られた知見を「関連事項・文献表」に書き込む。
- 文献から得られた情報・知識を使って2以降の作業を繰り返していく。
大学院修士課程での研究経験があるが,このような国会図書館の利用方法は知らなかった。このような表を作成するのはいいなと思った。
p. 122: 11 フェルミ推定
そこで加減と上限を設定し,桁数にだけ関心があるから、幾何平均を使う。
桁が1桁異なっているなら,下の桁を採用して3を掛ける。
フェルミ推定での数の推定方法が参考になった。
p. 159: 15 KJ法
<ラベル> を集める際には、既成概念による分類にならないようにする。「○○に関すること」や「○○なもの」を集めてしまうのは望ましくない。同じ特徴 (共通点) を持つもの同士をまとめるのではなく、一緒にしてみて「もっともだ」と感じるもの同士を集める。
「集める」というよりむしろ、つながりを発見しながら <ラベル> 同士を「結んでいく」と考えたほうがうまくいく。
KJ法の存在はしっていたが,グループ化の方法を誤解していた。
p.305: 30 問題への相談
個人攻撃の罠
日常で遭遇する問題について、例えば仕事や人間関係でうまくいかないことがあると、我々はその原因について自分の性格や能力、やる気や適性のせいにしてしまうことが少なくない。
これを個人攻撃の罠という。
kろえがなぜ「罠」なのかといえば、ここはまり込むと、特定の個人を問題の根本原因である <犯人> として見なし批判しておしまいになりがちで、それ以上の究明もなければ、具体的な改善のためのアクションを取ることもなく、結果として問題は放置されてしまう。
「自分」を変えることで何らかの成果を得ようとすることは、喩えるなら、スピードメーターの針を動かして自動車を加速させるようなものである。こうした考え方は、因果の向きの捉え方が逆さまになっている。
スピードメーターは自動車のスピードが変化した結果動くのであって、その逆ではない。
行動によって何らかの成果が得られた結果「自分」は変わるのであって、その逆ではない。
自分も個人攻撃の経験があったので,ここの説明は,とてもよかった。
結論
問題解決について古今東西のいろいろなところで使われている方法がまとめられている。
実際に取り組むのはけっこう面倒だったりするのだけれど,知っているかどうかは大きな違いなので,読んでよかった。
コメント
[…] 過去に,「問題解決大全」「アイデア大全」「ライフハック大全」などのなんとか大全という本を何冊か読んでいた。 […]