書評☆2 統計学が最強の学問である[数学編] | 統計学で必要な基礎が一通りあるが,文量は多く完読は難しい

概要

「統計学が最強の学問である」シリーズから,数学の基礎を学ぶための書籍が出た。

高度な統計学を学ぶには,数学の素養が必要である。しかし,重要な部分は限られるので,その部分を高校数学から大学初年次に学ぶ線形代数学までの範囲まで,カバーして,実際の統計学でどう使っているのかを解説している。

四則演算のレベルから解説しているのがよかった。ただし,内容はかなり細かいこと,地道なことが書かれている。 ページ数が550ページくらいとけっこうな文量があるので,正直なところ読んでいてしんどくなった。

p. 431の第6章 ディープラーニングを支える数学の力あたりから,実際の統計学に近い話がてくるのだが,ここまで,我慢して読むのは難しい。

教科書的な位置づけで書かれているので,そういうつもりで読めばいいのかもしれない。しかし,そうなると今度は内容の網羅性が物足りなくなる。

やはり,数学は数学で勉強して,統計学は統計学で勉強していくしかないのではないかと感じた。発想は良かった。本気でやるなら,学校の教科書のように色を付けて,枠で囲ったりしながらもっとわかりやすくしたらいい。

今までの本のように,文字中心でずらずらと書いていても,はっきりいってわかりにくいし,きつい。

結論

内容も発想もそんなに悪くはなかった。しかし,文量が多いし,内容が細かい。そして,後で教科書的に見返すには,白黒でテキストがずらっと書いてあるだけではレイアウトがみにくい。

文系の人が,これを読んでもよけいに嫌気が差すだけだし,理系の人が読むには内容が中途半端に感じた。まあ,統計学に必要な要点を自分でかいつまんで読めるのなら,いいのだけど,けっこうな文量があるので,それもけっこう手間だ。

いろいろ惜しい本だった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2018/08/04/

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