概要
- 書名: 訴状・答弁書・準備書面作成の基礎と実践
- 副題: 規範的要件の主張の要領
- 著者: 植草, 宏一 and 大坪, 和敏 and 松嶋, 隆弘
- ISBN: 9784417016601
- 出版: 2015-08-14
- 読了: 2022-09-03
- 評価: ☆5
- URL: https://book.senooken.jp/post/2022/09/03/
評価
本人訴訟を行っており、第1回公判が終わり、2回目に向けて準備書面の書き方を調査していて読んだ。
本書は法的効力の有無を判断する上で重要な、要件の主張の要領を、複数の具体的な事例を元に整理している。
以下の3部構成になっていた。
- 一般的な要件事実の説明
- 訴状・答弁書・準備書面
- テーマごとの具体事例
特に3の実践編がよかった。「錯誤」「目視の意思表示」「不法行為における過失」が特に役立った。
係争当事者になって書面を用意する際に、要件事実に沿った書面を用意する上で、非常に有益だった。
参考
p. 168: 錯誤無効の他の論点
錯誤による無効を争う場合、民法95条の他に以下の法的根拠も検討できる。
- 債務不履行解除
- 瑕疵担保責任
- 消費者契約法4条1項
- 消費者契約法4条2項
- 沈黙による詐欺
p. 287: 民法709条の要件事実
民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求は非常に行われることの多い請求で、これが前提とする不法行為の成立要件が重要で、これを整理していた。
- 原告の権利または保護法益 (被侵害利益) の取得原因事実
- 1の被侵害利益に対する被告の加害行為
- 2についての被告の故意又は過失
- 2と5の因果関係
- 原告に発生した損害とその数額
こういう観点が大事だとわかったので、訴状や準備書面でこれらの項目をそのまま記載すればわかりやすいだろうと思った。
結論
法的効力の根拠となる要件事実が整理された本だった。
法律の素人からすると、主張に使える法律と、その法律の効力が発生する条件が項目ごとにまとめられており、非常にわかりやすかった。
特に、末尾の実践編では紛争としてよくあるケースを具体的な事例と、それに基づいた双方の主張例があり、イメージしやすかった。
できれば、準備書面ではなく、提訴前の訴状作成時にも把握しておいたよいと思った。わかりやすくて要点がまとまっている非常に良い本だった。
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