書評☆5: 一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学 | レベル1→10になるためのヒントがふんだんに盛り込まれた大個人投資家cisの自伝

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概要

  • 書名: 一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学
  • 副題:
  • 著者: cis
  • ISBN: 9784041069691
  • 出版: 2018-12-21
  • 読了: 2020-10-26 Mon
  • 評価: ☆5
  • URL: book.senooken.jp/post/2020/10/26/

評価

資産230億円以上を保有する大個人投資家のcisによる投資哲学及び自叙伝となっていた。

構成は以下のとおりだった。

  1. 投資哲学
  2. 自叙伝
  3. これから株を始める場合の戦略

cisが導いた投資の勝利の原則は順張り。上がるものは上がり続け,下がるものは下がり続けるという原則。

従って,上がっているところで高値を買い,下がったら売る。下がっている間は買わない。これが基本となる。

元々ファンダメンタルズ分析を駆使したバリュー投資で株式投資を始めたものの,2年半で1000万円を溶かし,2ちゃんねるのオフ会で勝利者の戦略を学びそこから連戦連勝となったのがこの原則だと書かれていた。

安いものを買って高く売るという一般人の感覚である逆張りと真逆の発想であるため,最初とっつきにくい。

丁度,株式投資を始めて試行錯誤している中で,需給のバランスで売り手不在で買いが殺到して急騰するという新高値銘柄の動きを何度も目の当たりにして,この手法は自分としては納得できるものだった。

買いのタイミングや売りのタイミング,そして一から株式投資をやる場合の戦略など具体的で誰でも取り組めそうなものがふんだんに盛り込まれていた。

冒頭で書かれていたRPGでレベル1をレベル10にするためのヒントが実際に盛り込まれており,200ページ程度の本だったが自分には非常に有益だった。

また,メディアにほとんど登場しないcisの経歴や投資仲間についても書かれており,株式投資黎明期や2ちゃんねるの株板を知らない自分にとっては面白かった。

同じく日本を代表する個人投資家の本としては片山晃の「勝つ投資 負けない投資」がある。

片山晃の本は手法の具体性が欠けており,自分としてはあまり参考にならかった。その点,cisの本の方が手法が具体的でエピソードが面白くてよかった。

引用

p. 3: はじめに 勝つ方法はシンプル

子どもが3人もできて、普通に大人になってきた気もするし、まるで大人になっていない気もする。

3人の子供の親であることが書かれていた。

p. 5: はじめに

一般にお金を持っている人が有利と思われがちだが、むしろ逆で、投資効率はお金を持っているほうが下がる。資産総額が1500万円以下ならば、それを数倍にするチャンスは無数に転がっている。RPGでレベル1をレベル10にするみたいなもので、誰でもできる。そしてそのヒントを本書にたくさん入れたつもりでいる。

この本に込めたものが書かれていた。この直後に,多くの人の目に触れた瞬間に優位性を失うため,株の勝ち方について書かれた本は基本的には役に立たないと書かれていた。しかし,本書の内容は普遍的な原理原則に通じているため,役に立たなくはならないように感じた。

p. 6: 出版の経緯

これまで雑誌やテレビの取材はほとんど断ってきた。有名になりたい気持ちはないし、リスク管理的な意味からメディアに出ることはマイナスでしかなかった。出演料や謝礼は確定申告が面倒になるだけだし。そんなわけで、本を出すことも考えても見なかった。

それでもこの本を出すことにしたのは、麻雀ライターであり10年以上の付き合いがある福地誠さんに声をかけられたからに尽きる。

普段メディアに出てこない理由と今回出版された経緯が書かれていた。

p. 15: 上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる。

投資家や投資を始める人に「何かアドバイスください」と言われたとき、僕は「上がり続けるものは上がり、下がり続けるものは下がる」とだけいうことが多い。


今現在買われていることで上がっている、売られていることで下がっているというのは明確な事実としてそこにある。であればマーケットの潮目に沿って行動するのが一番勝つ可能性が高い。

僕はこの大原則を理解していなかったために、株の口座を開いたあとの2年半ほどで、元手の300万円をただただ溶かして、104万円まで減らした。他に持っていた貯金や給料もかなりの程度投資に入れていたので、1000万円ほどは負け続けたと思う。後に詳しく述べるけれど、自分の「こうあるべきだ」というものを優先し、今こうあるという事実を直視しなかったからだ。

上がっている株を買う。下がっている株は買わない。

買った株が下がったら売る。

マーケットの潮目に逆らわずに買う。そして潮目の変わり目をいち早くキャッチする。

この大原則に従うようにして今の資産を築くことができた。

cisは順張りの短期取引で大成功を収めた。その成功の大原則が書かれていた。

p. 18: 「真のランダム」はイメージより残酷である

けれども多くの人が確率やバランスを意識してしまう。

たとえばコインを10回投げて10回表が出たからって、次に投げればどちらになるかといえば、まったくの五分。けれども多くの人が、そろそろ裏が出るのではないかと意識しがちな傾向にある。


きっちりとした確率のゲームであっても、こうした偏りが起こりうる。

株はそもそも確率のゲームではないのだから、「バランスは取れないのが当然」と思っておいたほうがいい。

上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる。


たしかなのは、今上がっているという事実。どこまで上がるかなんて誰もわかるわけがない。

勝手な予想はしないで、上がっているうちは持っておくのが基本。

ずっと上がっていた株が少し下がったとき、それは一時的に下がっただけなのか?反転したのか?それもわからない。利益を確定させようとして売る人がいれば、それだけで少し下がる。

僕の場合、あまり小さな動きは気にしないで、ある程度下がったときに売ることが多い。相場用語で、上がってきた株が一時的に下がることを「押し目」というけれど、僕は2度目の押し目で売ることが多い。

保有した株の売付のタイミングについて書かれていた。小さな動きは気にせず,大きく下がったタイミングで売るというのが基本のようだ。

また,ここではランダムについても言及していた。つまり,上がり続けたらどこかでバランスが取られるのではないか?というイメージだ。しかし,株に関しては確率のゲームではないので,バランスは取られないのが当然だ。

したがって,最初に言及していた順張りが正解となると結論付けられていた。

p. 19: 「押し目買い」をやってはいけない

同じことで「押し目買い」は避ける。


押し目買いは、下がったところで買おうとするわけだから、逆張りの一種になる。

つまり、やってはいけない買い方のひとつ。


「少し下がったところで買う」とか「割安なタイミングで買いたい」とか考えるのは、そもそも発想として間違っている。

上がっている株がまだまだ上がりそうであれば、そのタイミングで買うのが基本。

だいぶ上がったあとに「買い時を逃してしまったのではないか?」考えるのは、いずれバランスが取れるという発想にもとづく。

どこまで上がるかは誰にもわからない。

「遅すぎたかも?」などとは思わず、まだ上がっているならこれからも上がると考えて買えばいい。

押し目買いをしてはいけないこととその理由について説明していた。ここの説明で少し下がったところで買うという考え自体が,いつかバランスが取れるという発想に基づくものであり,NGと書かれていた。

p. 21: 目先の「利確」に走れば大勝はなくなる

次の瞬間に下がりだしたなら、せっかくの利益が吹き飛んでしまう。そんな不安から、すぐに利確に走る人たちがいる。


けれども、上昇局面での利確は勝つための方法としては間違っている。

下がって800円になったときにはすぐ売ってしまったほうがいいし、上がって1100円になったときには売らないほうがいい。

さきほど述べた「順張り」と発想は同じ。

たった今下がった株は、そこから反転して上昇するよりも、さらに下がることのほうが多い。また、たった今上がった株は、そこから反転して下がるよりも、さらに上昇を続ける可能性のほうが高い。正確にいえば、可能性が高いというよりも勝負の効率がいい。

重要なのは勝率ではなく、トータルの損益。そう考えられるかどうかが株で勝つための鍵となる。


目先の利確に走ってはいけない。

勝つためには、長い目で見て得となる可能性が高い売買を積み重ねるしかなく、日々の勝敗に意味はない。

僕の場合、銘柄それぞれの勝敗を考えるなら、利益になる取引は3割くらいしかない。

残りのほとんどがトントンかちょい負け。けれども、時々負け額に対して10倍や20倍の金額を勝つことがあるから、勝率は低くともトータルではプラスになる。


トレード効率からすると、こっちのほうが良い結果になりやすい。

小さな損を重ねながらも、たまに大きな得をしようという発想。これが逆になり、小さな得をいっぱいしていて、たまに大きな損をするようになっていると要注意。

そういう意味でいっても、目先の利確は大きな勝ちをなくしてしまう行為にあたる。

ここでは目先の利確が厳禁であることを述べていた。人間心理として,上がったら利確したくなり,下がっても損切りはしたくない。

特に,上がったら利確を勧める必勝法も多い。ここでは,大勝を逃してしまうため,目先の利確を避けることが書かれている。

特に,最後の部分のコツコツドカンが典型的な失敗例であり,なるほどと思った。

p. 24: ナンピンは最悪のテクニック

結論からいえば、ナンピンは最悪の買い方だと思っている。

場合によっては一撃で死亡してしまうから。

これまでにも言っているように、上がっているものを買い、上がっている間は持ち続け、下がったら売るのが大減速。ナンピンはその逆になっている。

上がると思って買った株が下がれば失敗だけれど、ここまではいい。よくあることで、どんな達人でもこれを避けることはできない。


ここでやるべきなのは、失敗を認めて迅速に撤退すること。

つまり損切り。


株でいちばん大切なのは迅速な損切り。

失敗から逃げてはダメで、失敗は当然としていかに最小にとどめるか。

ナンピンが如何にダメな取引かが述べられていた。

p. 26: 損切りした株がまた上がりだしたときに買えるか

小さな損はかまわない。というよりも避けられない。

重要なのは、損をしないことではなく、大きな損をしないこと。

大ケガだけはしないようにする、という方針で僕は今の資産を築いた。


買った株が下がり損切りしたとして、そのあと損切りをあざ笑うかのように上がりだしたとき、上昇株として買うことができるかどうか?ここも大きなポイントになる。


でも僕はそれを気にしない。いつも平気でやっている。

1回ごとの売買で勝ち負けを考えていないから抵抗がない。


さすがに同じ銘柄で売買を3回以上も繰り返して全部はずしたら、「俺をハメようとしているのか?」とイヤになってしまうこともあり、この銘柄は読めないと思って手をひく。けれど、それまでは気にせず続ける。局所的な勝敗を考えてもあまり意味はない。

順張りでありえる損切り後の上昇をどう捉えるかが書かれていた。個別の勝敗を気にしないことで,乗ることができるとしていた。

p. 49: ジェイコム誤発注事件の成功者

知り合いの個人トレーダーでは、かなり稼いだ人も何人かいる。無職の大富豪=B・N・Fや同じく投資家のuoaは大量保有報告書を出してそのまま持ち越し。

2005年12月8日の有名な誤発注事件が当事者の視点から語られていた。cis自体はこの事件で6億円ほどの利益を獲得した。

B・N・Fの他にuoaという個人投資家の存在を知った。

p. 66: 株を始めたときは身勝手な仮説で負け続けた

株を始めたばかりの頃、僕は負け続けた。

ネット証券に口座を開設して証券会社の口座に300万円を入れてスタートした。その段階での持金は、大学までに作った約1000万円。残りの700万円もあとから口座に追加していたし、給料も生活費の5万円を除いて毎月20万円近く突っ込んでいた。残額は減り続けた。

その頃は、自分なりにいろんな企業の財務分析をして、割安な株を探して買っていた。


1000万円ほど負けて、口座残高は104万円まで減った。

この頃のやり方がダメだったのは、割安だという判断が主観に過ぎないのにそこに気づいていなかったこと。


企業の価値を株価が正しく反映していないと考えるよりも、株価こそが答えであり、世の中の総意として適性だとみなされている数字だと考えるほうが正しい。


加えて割安に見えたとしても、それは誰でも知っている情報に過ぎない。


割安だという決めつけで買っていれば負け続けるだけ。

それを痛感させられて、今のスタイルに至っている。

cisが投資開始当初に負け続けたファンダメンタル分析の問題について書かれていた。割安かどうかというのも含めて株価に織り込まれているというのが自然な考え方なようだ。

p. 74: ニュースはNHKよりツイッターのほうが早い

ふだん僕が見ているのは値動きとツイッター。基本は値動きを見ていて、何か怪しい動きがあったら、まずポジションを軽くしてからニュースを確認する。


ニュースはツイッターがいちばん早い。つまり口コミ。


だから僕は、基本的にニュースはツイッターだけにしている。新聞や雑誌も読むけれど娯楽にすぎない。それで事足りる。


日本、アメリカ、ヨーロッパの3つのマーケットのうち、時差の関係から月曜日に最初に市場が開くのは日本。

なので週末に世界的な事件が起きると、日本で最初に影響があらわれる。 イギリスのEU離脱決定、トランプの勝利など、欧米の政治的な事件があると、まず大きく売られる。そのとき日本では売られすぎる傾向がある

僕の経験からいえば、こういうときは90%逆張りで買っていい。

トランプの大統領選勝利のように、「今後どうなってしまうんだ?」という状況のときこそ逆張りだ。

もちろん,これは何か大事件が起きた場合の話。通常時にダウ先物が安くなっているからといって逆張りするのは、「上がっているときには買い」の原則に反する。

逆パターンで、週末にアメリカに好材料が出て、ダウ先物が400くらい大きくプラスしているときに日経平均も爆上げしたら、空売りする。だいたいすぐ戻る。

cisの情報源としてツイッターを使っていることと,唯一逆張りが通用する稀有なケースについて説明されていて参考になった。

p. 77: 「仕手株」が疑われる値動きがあればチャンス!

仕手株への対応はかなり得意。

需給がいびつで値動きが激しいやつは、デイトレには絶好の素材になる。

仕手筋がどういう思惑や経緯で買っているかには興味はない。

仕手株にはすぐ乗って、早めに売ることができれば投資効率がいい。

今は自分で動かしている資金が大きくなってしまったから、小型株はあまり見なくなったけれど、総資産60億円くらいまではあやしい動きをする小型株もよく見ていた。

cisは仕手株も得意ですぐ乗って,早めに売ることをやっていたようだ。

p. 84: 配当狙いは興味がない。儲からないから

僕は基本的に長期投資はやらない。

明日の株価もわからないで悩んでいるのに、半年後とか1年後、さらには10年後の株価なんて予想できるわけがないと思っているから。


専門として勉強してきたアナリストでもコイントスと互角ってことは、そこに張るのはそうれだけ厳しいということ。


そしてトレードが目的であって、社会的な投資、あるいは配当狙いや優待狙いにはまったく興味がない。そういうのはほとんど儲からないと思っているからやらない。

例外として持っているのが吉野家ホールディングスと松屋フーズホールディングス。松屋は年間に10食が無料になる。


株を始めたぐらいのときに優待が受けられる最低単位を買って、今も持っている。もう20年近く株をやっているので、なんとなく思い出の品に近い。毎年、少しばかりの配当と優待券が届くので、たまに食べて、だいたい友だちにあげてしまう。

もうひとつ、鳥取にいったときにチューブに入っているコラーゲン青りんごゼリーをお土産で買ったら、すごくおいしくて,その商品を出していた寿スピリッツという会社の株を買ってみたことがある。


ずっと放っといたのに、この間見たら当時から大きく値上がりしていてビックリして売った。


唯一情で持ち続けているのは、僕が叔父さんの会社で働いてサラリーマン時代のメインノ取引先だった、とあるゴム製品の会社の株。

会社を辞めて1年後にだいぶお金ができたから「叔父さんの会社への注文を切らないでね」という気持ちでそこの株を大量に買って、今でも大株主として載っている。


叔父さんの会社は上場していないから、株を買えないので、その分の気持ちでもある。

短期トレーダーのcisが長期投資をやらない理由と唯一長期保有している銘柄について語られていた。

p. 93: 不動産投資は罰ゲーム

ちなみに自分自身は、賃貸マンションに住んでいる。

最初に実家を出たときに資産は2億円だったけれど、住んだのは家賃28万円のマンション。その部屋を選んだ理由は、麻雀しに行くのに便利だったから。

そのあと子どもが生まれて、お金が増えたこともあって、今のマンションに移った。家賃は駐車場2台分付きで、月180万円。タワマンではなく低層マンション。個人的には高いところに住む価値がよくわからない。外出に5分かかるわずらわしさのほうが大きい。


今のようなマンションで家賃を払っている立場だと、電球が切れたとフロントに言えば、持ってきてくれるのもいい。注文していたペットボトルの麦茶の箱が届いたときには、部屋の前まで運んできてくれる。洗濯物をフロントに出すだけでクリーニングに持っていってくれて受け取りもやってくれる。

持ち家を建てて、一国一城の主になりたいというような感覚はまるでない。そんなのはただの自己満足だと思っている。箱買いした麦茶を部屋の前までもってきてもらえる快適さのほうが、僕にははるかに重要。

ビル不動産投資は投資効率が2 %程度と低く,手間に比べて割に合わないことが書かれていた。

その他,高級賃貸マンションのサービスについて書かれていて参考になった。

p. 94: 投資でもっとも大切なのは効率

今の僕の資産の内訳は、ずっと持ち続けている株が1%弱。金とプラチナが2%。不動産が10%。再保険商品が10%。外貨建債権などが6%くらいあって、残り70%ほどは現金。だからキャッシュで160億円ぐらいある。で、勝負するときには、税金の引き落しとかの口座に入れている10億円を除いた150億円をトレードに使っている。

金とプラチナは、万一すべてを失ったときのための保険。


不動産と再保険商品は勉強のため。 持ち家に興味がないだけじゃなく、高い時計が欲しいとか、車が欲しいとかいった願望もまったくない。ブランドにも興味がないので、着ている服はユニクロなんかが多い。靴とかも含めて、身につけているものが高いか安いかは気にしない。エルメスのカシミヤセーターは機能性がいいから買うけど。


高めの買い物といえば、ワインやシャンパンくらい。それも別にどうしても飲みたいというほどでもない。

あとはスマホゲームのガチャ。今やっている「リネージュ2 レボリューション」というゲームでは9000万円ぐらい課金している。

ここでは相場の友だちの「降臨」がマンションを購入した話が書かれており,タネ銭が必要なので買うべきではない。または買ったらそれを担保にお金を借りたほうがいいと主張していた。

その他,cisのポートフォリオやどういうものにお金を使うかが書かれていた。

p. 105: 社長になる才能はとことんない

ここでは過去にcisが挑戦した事業について書かれていた。

  • トレードの会社: 資産20億円ぐらいの頃に大学の友人5人を雇い指導。結局本人の本能が勝り,指導とは違うトレードが繰り返され,給料分だけマイナスに。
  • 投資に特化したSNSのカブトモNet: 流行らずに過疎りゴーストタウン化。
  • トレード発注ツールの会社Tプラスプラス: どうにもダメで,投資家のますぷろに譲渡。

cisの知り合いの投資家がまた登場しており,いろいろやっていたことがわかって興味深かった。

p. 111: 第5章投資に必要なスキルはゲームで磨いた

小学生のときから僕はゲーマーだった。

僕が育った場所は、東京都板橋区。

ここではcisの幼少期のエピソードが語られていた。子供の頃からのゲーマーで板橋区出身というのが知れた。

その他,中3でパチンコを始めて,高校で元締めになり,大学の20歳で2000万円の貯金を貯めるという既に非凡な才能を発揮していた。父の影響で法政大学の工学部に入学。

就職氷河期だったこともあり,就職しない生き方を模索し,パチンコより大きく勝てる競馬に取り組むも1000万円負ける。

株式投資を始めるまでのエピソードが語られていた。

p. 132: 株式投資のきっかけ

ネット証券に口座を開設して300万円入れて株をスタートしたのは2000年の夏。僕は21歳だった。

20歳までにパチンコを中心につくった2000万円を競馬で1000万溶かして、預金が1000万円ほどのときだった。

当時は金利がすごく下がっていて、小学生の頃には7%くらいあったものが0.1%になっていた。これじゃ銀行に預けておいてもしょうがないというのがまずあった。ちょうどその数年前に、金融ビッグバンで証券会社の手数料も自由化されたので、これはチャンスがあるんじゃないかと思ったわけだ。

株式投資に取り組んだ理由が明かされていた。

p. 135: 2ちゃんねるのオフ会で勝ち方を教わる

僕が勝ちに転じたのは、2ちゃんねるの株板のオフ会に行ったのがきっかけになっている。逆に行かなければとっくの昔に株の世界から退場していたかもしれない。


男性が6人ほどで、女性は2人。男性メンバーのなかにuoa,すくる〜じとびびりおんがいた。今だとuoaはおそらく200億とか300億とか、すくる〜じとびびりおんは数十億ぐらい持っていると思う。


そのうちの一人、びびりおんとは電車で一緒に帰った。

年齢も同じで、オタクっぽくて、なにか気が合いそうな感じがしていた。


そのオフ会の効果は大きかった。

当寺の僕は負け続けていて、割安株を買う長期の方法ではダメだとうすうす感じていて、他の方法を模索していた。新たに向かうべき方向について、そのオフ会で確信を得た。それは実際に億単位で買っている人たちがやっている方法だ。

割安とか割高とか、将来この会社は業績が伸びるはずだとか、そういった要素は、自分が勝手に思い込んでいるに過ぎない。勝っている人ほど、短期の値動き、かつチャートや指数組入れなどの理由がある株を買っていた。

「今ある優位性」に張る。

そのオフ会をきっかけに、長期トレードをやめて、値動きだけを見る短期トレードに買えた。すると、それまで負け続けていたのが嘘のように連戦連勝になった。


そのとき会ったびびりおん、すくる〜じとは今も麻雀で週に何度も会っている。

cisが勝てるようになったオフ会でのできごとが書かれていた。

p. 140: 総資産が6000万円になり会社を辞めた

会社を辞めて専業トレーダーになったのは、総資産が6000万円になったとき。4000万円くらいの段階で、これはもうこの道でいけるだろうと僕は踏んだ。

周りのトレーダー仲間と比べてみると、専業になるタイミングはだいぶ守備寄り。

一般的には6000万円ではまだ不安かもしれないけど、トレーダーで成功している人は、仕事を辞めるのが資産500万〜1000万円のタイミングが多かった。

ますぷろという友人は資産200万円で仕事を辞めてトレーダーになった。中卒で鳶をやったり消費者金融で働いたりした後にプログラマーになり、辞める直前には創業期のドワンゴにいた。


なかには400万円を溶かして20万円で再出発し、やっぱり今10億円ぐらいにしている降臨という人もいる。

cisが専業になったタイミングと仲間の話が書かれていた。

p. 146: 「1億2000万持ってます、彼女募集中」

ここでは今の妻との出会いの話が書かれていた。友だちが2ちゃんねるの掲示板にスレッドを立てたのを面白がって真似したところ,1000通の女性からメールが来た。週3-4でメールの相手と順番に会っていったらしい。

これを10か月やって懲り懲りして募集を打ち切った直後くらいに連絡があったのが今の妻だそうだ。それまでの100人以上の女性の中で一番自分にぴったりだったそうだった。

面白い話だった。

p. 167: 早い人はいつでも早く、遅い人はいつでも遅い

とにかくなんでも行動が早いし、やる気がある。

その人は三空さんという。個人トレーダーとして一緒に「笑っていいとも!」に呼ばれて、僕が覆面で出て彼が顔出しで解説する、みたいな役回りだった。今は地元に戻って議員をしている。


個人トレーダーから政治家になっていくケースはなぜか多い。

cisの仲間の三空が紹介されていた。その他,笑っていいともに出演していたのは意外だった。

p. 168: 不況時の赤字会社への長期投資はアリ

これから50万〜100万円の予算で相場を始めるなら、最初はIPOのデイトレがいいと思う。

IPO銘柄のボラティリティが高いやつを買って、ダメそうならすぐ損切りし、上がっている最中は持っておくスタイルのデイトレがいい。


一般にIPOは大きく値上がりして始まる可能性が高いので、そこで勝ったお金を投資の原資にする。

ただデイトレの場合、値動きがヤバそうならすぐ逃げる必要がある。サラリーマンの人が仕事をしながらだと、トイレの個室にこもってスマホをいじる回数が増えてしまうのが難点だ。でも、チャンスはごろごろあるし、すぐ増やせるチャンスがお宝のようにザクザク眠っていると思う。

それで予算が2000万円を超えたら、IPOデイトレに加えて他のこともやる。


「情報を集めるようなことはあまりしたくないけれど勝ちたい」という人は、不況時の赤字会社への長期投資をやってみてもいいかもしれない。

ギリギリで黒字を保っているような会社はダメで、赤字に転落している会社がいい。

そういう会社は好況になると黒字が出て、手の平を返したように株価が上がる可能性が高い。ただし、潰れてしまえばゼロになるので、潰れなそうな会社を狙う。

逆に、好況時は買わないほうがいい。

景気は循環するから、全体の株価が上がってきて、週刊誌に特集が組まれ、アナリストが勧めているようなときには、伸び代がなくなっている可能性が高い。

上場廃止になってしまいそうな会社も狙い目。

比較的最近でいえば、JAL、東芝、東京電力など。これらの会社は「もうダメなんじゃないか?」と見放されかけていた。金融危機時の銀行なんかもそれに近い。

だからこそ、危機を脱したときには10倍や20倍のリターンもあり得る。

マーケットというものはリスクを回避する傾向が強いので、アブナイと思われたら必要以上に売られる。


紙切れになるリスクを背負って転落会社を買うのは夢がある。

投資歴20年以上にもなるcisが1から投資を始める場合の戦略について書かれていた。ページ数は4ページ程度だが,ここだけで本書を買う価値があるのではないかと思った。

p. 171: 仮想通貨取引で勝つには

これから投資をする人にとっては、ビットコインなどの仮想通貨も視野に入ってくると思う。それらの買い方や売り方も、株や為替や先物と変わらない。というか値段がついて売買されているものは、すべて同じ。

つまり、上がっているときに買って、下がってきたら売る。

下がっているときには買わない。


本質的な価値は変わらないのに、空気だけでガクッと動いている。はっきりこう言えるようなときはチャンスになる。

FXや仮想通貨などにも取り組んでいるcisだがその基本原則は同じというところが参考になった。

結論

日本の個人投資家としてトップクラスでカリスマ的存在のcisの投資哲学,経歴を知ることができる貴重で有益な本だった。

Amazonレビューを見ると,否定的なレビューも多く,いまいちな本かなと思っていた。しかし,自分の予想を大きく裏切られたいい本だった。

投資手法は勿論,波乱万丈の人生も面白かった。手元に残したいと思えるいい本だった。

ここに書かれたcisの投資手法を自分なりに整理・分析して取り入れてみたいと思った。その他,ここで登場した個人投資家についてもメモに残して,調べてみたいと思った。

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コメント

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  3. […] cisは著書でIPO銘柄で上がっている間は持ち続けるスタイルのデイトレードを推奨していたが,なかなか難しい。IPO銘柄は値動きが激しいので,急騰時のスキャルピングはリスクが大きい […]

  4. […] 「書評☆5: 一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学 | レベル1→10になるためのヒントがふんだんに盛り込まれた大個人投資家cisの自伝 – 己の為に金は鳴る」のcis流IPOデイトレがだ […]

  5. […] cis流順張りIPOデイトレでの最初の勝ちとなった。 […]

  6. […] 動かせる男の投資哲学」を読み,その書評を記した。 […]

  7. […] 11月は書評に書いたcisの本の内容に従って,IPO銘柄 (7356 Retty, 4014 カラダノート,4934 プレミアアンチエイジング) の順張りでトレードしていた。 […]

  8. […] 以前書評に書いた「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」のAmazonでのレビューで,cisが他に登場している本として本書が挙げられており,興味を持って読んだ。 […]

  9. […] 以前書評に書いた「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」のAmazonでのレビューで,cisが他に登場している本として本書が挙げられており,興味を持って読んだ。 […]

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