書評☆3: Software Design 2018年3月号 | Web APIの利用と開発の特集は取っ掛かりに悪くない

概要

  • 書名: Software Design 2018年3月号
  • 副題:
  • 著者: 技術評論社
  • 出版日: 2018-03-18
  • 読了日: 2020-01-19 Sun
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2020/01/21/

評価

Web APIについて勉強しており,今号はWeb APIの特集があったため興味を持って読んだ。他にはKubernetesやGPUサーバーでのディープラーニング,ARKitとUnityで作るiPhone ARアプリ集中特講などが掲載されていた。

肝心のWeb APIの特集はp. 18-62の約40ページに渡り掲載されている。以下の4章構成になっていた。

  1. GitHub APIの使用
  2. 暗号通貨APIの開発
  3. TwilioのAPIの使用
  4. エンタープライズでのAPI利用例

肝心の内容だが,1のGitHub APIを活用したもののみ自分の知識で理解できた。残りは少々レベルが高くてあまり理解できなかった。

残念だったのは3のTwilioを使った記事だ。そもそもTwilioが有料のAPIであり,トライアル期間があったとしても使うハードルが少々高い。著者の宣伝を兼ねていると思うが,こうした読者に不利な例を出さないでほしいと感じた。

1のGitHub APIの記事はWebブラウザーで選択文字列をGistに保存するブックマークレットの開発を通してAPIになれるという内容だった。JavaScriptを使ったもので,ブックマークレットにするとブラウザーの拡張機能の用に使えるのでいいなと思った。

APIを使う上で調査が必要な内容,利用の手順などが書いてあり勉強になった。

引用

1のGitHub APIを使ったサンプルコードがJSFiddleで公開されている。この他,最後のブックマークレットに変換するサービスとして「WDF – Software: ブックマークレット作成スクリプト」が紹介されていた。

結論

Web API特集を目当てに読んだ号だった。

肝心の特集は少々自分には難易度が高い内容が多く,最初の章だけ参考になりそうだった。しかし,この部分だけでもAPI利用時の流れや実際の使用例が解説されており,勉強になった。

Web APIの利用を学ぶ本はなかなかないので,少しずつ学んでいきたい。

書評☆3: ロウソクの科学 | ノーベル賞受賞者が子供時代に愛読したロウソクから始まる中学〜高校レベルの化学講義は化学への興味をくすぐる多数の実験録

概要

  • 書名: ロウソクの科学
  • 副題:
  • 著者: ファラデー
  • 出版日: 2012-06-25
  • 読了日: 2020-01-17 Fri
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2020/01/17/

評価

2019年のノーベル賞を受賞した吉野 彰氏が,インタビューで子供時代に愛読した本として回答して話題になり興味を持って読んだ。

本書は1861年末のクリスマス休暇に,ロンドンの王立研究所で催された連続6回の講演の記録となっている。身の回りで身近なロウソクが燃えるところから,化学を解説している。

ロウソクの原料から,燃焼,水,水素・酸素,空気,二酸化炭素,窒素,呼吸といったテーマを扱っている。中学から高校で学ぶような内容が数多くの実験と共に紹介されていた。

ファラデーは科学の分野で数多くの法則を見つけて科学史に名を残す偉大な科学者だ。解説を読んでこの講義の流れに納得した。ファラデーはもともと貧しい出身で,学ぶ機会に恵まれずめぐり合わせで科学者となった。そのため,知識よりも観察が先行し,目の前の現象から考えを張り巡らせるしかなかった。だから実験がメインとなっている。

昔の外国人の話を翻訳したものであるため,少々読むのがしんどかった。所々に実験器具の挿絵があるものの,そこまで量はなく,基本的に文章を読んで自分で想像が必要な部分が多く,読者への負担の大きい本だった。

今から読むのであれば,挫折しないように特に学生には本書を図解で解説した他の本 (例: 「ロウソクの科学 世界一の先生が教える超おもしろい理科」など) を強く推奨したい。

結論

ロウソクという身近な化学物質の現象からこの世界で普遍的な科学を学ぶ本だった。ノーベル賞受賞者が子供時代に愛読したとあるだけに,中身は化学的興味をくすぐるような実験や話が多かった。

ただし,もともとの本は今読むのは少々しんどいので,図解されている他書や口語訳に翻訳された本をあたることを強く推奨したい。

書評☆3: ゼロ | ホリエモンの半生が綴られた貴重なエッセイを読んで感じたのは,やはり「人生は環境ゲー」

概要

  • 書名: ゼロ
  • 副題: なにもない自分に小さなイチを足していく
  • 著者: 堀江 貴文
  • 出版日: 2013-10-31
  • 読了日: 2019-12-24 Tue
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/28/

評価

電車内広告で目についたことから読んだ「バカと付き合うな」で堀江 貴文 (ホリエモン) に興味を持った。その中で,本書はホリエモン自身の半生について書かれている貴重な本だ。彼の考え方の根本的なところを知るのに参考になるだろうと思い読んだ。

本書の前半が生い立ちから起業するところまで,後半が働くことに対する考えが書かれていた。起業後の話は書かれていないことに注意する。起業後の話は別のたくさんの本で書いているらしい。

内容は期待した通り,ホリエモンの生い立ちから後にいろんな本でちらついてみえる合理主義的な考え方,氏への恐怖,自信家なところのルーツが書かれており,なるほどと思った。

ただ,読んで思ったところは,やはり人生は環境ゲーだということだ。つまり,周りの環境,周りの人間の影響を大きく受けるということだ。本書を読んで,ホリエモンはいわゆる毒親を持っており,あまり恵まれない家庭環境だと知った。

昔の情報不足の時代で数少ない情報源だった図鑑を読んだり生まれ持った才能により小学校の成績がよく,そのことについて小学校3年生の担任に入塾・私立中学の進学を薦められて人生が大きく変わったようにみえた。後は周りの人間やそこで出会ったアルバイトやパソコンとの出会いを通じて今に至った。

自分で身の回りの環境をできるだけコントロールして,うまく自分の目標に進めるようにコントロールする必要があると感じた。

その他,いつもは強気なホリエモンだが,本書内では過去にモテなかったり,女性との会話に自身がなかった話など,自身のコンプレックスやあまり触れたくないだろう弱みの部分,努力の話などが書いてあった。他の本では書かないだろうという内容で,珍しかった。

引用

p. 28: いまこそ「働くこと」を考えたい

人が新しい一歩を踏み出そうとするとき、次へのステップに進もうとするとき、そのスタートラインにおいては、誰もが等しくゼロなのだ。

つまり、「掛け算の答え」を求めているあなたはいま、「ゼロ」なのである。

そしてゼロになにを掛けたところで、ゼロのままだ。物事の出発点は「掛け算」ではなく、必ず「足し算」でなければならない。まずはゼロとしての自分に、小さなイチを足す。小さく地道な一歩を踏み出す。ほんとうの成功とは、そこからはじまるのだ。

本書の副題にもなっている「小さなイチを足していく」の由来となっている文言が冒頭に書かれていた。本文内にも2-3回このことについて書かれている。たしかにそうだと思った。

p. 122: お金なら自由になる働き方

お金を「もらう」だけの仕事を、お金を「稼ぐ」仕事に買えていこう。

儲けるために働くのではなく、お金から自由になるために働こう。

なぜ働くのかという問へのホリエモンの答えがこれだと感じた。たしかに受け身で与えられるものとして考えているよりも,自分から積極的に考えていかないとダメだろう。

p. 152: 積み重ねた「イチ」の先に見えてくるもの

仕事や人生においてラクをすること。それは、掛け算を使うということだ。

5+5で10の成果を出すのではなく、5×5で25の成果を出す。

同じ時間、同じ労力を使いながら、より大きな結果を残していく。僕がメディアに登場するようになって以来、繰り返し訴えてきた「掛け算によるショートカット」だ。

しかし、これまでの僕はショートカットの有効性を強調するあまり、その前提にあるはずの「足し算」の部分について、ほとんど語ってこなかった。

人は誰しもゼロの状態からスタートする。

そしてゼロの自分にいくら掛け算をしても、出てくる答えはゼロのままだ。

副題の「小さなイチを足していく」の説明が個々にもあった。この後,モテないオタク男子を例に「掛け算によるショートカット」 (恋愛テクニック) を身に着けてもモテないことを引き合いに出して参考になった。

p. 199: 働くことは自由へのパスポート

責任が発生しないうちは、ほんとうの意味での自由も得られないのだ。無邪気に見える子どもたちは、圧倒的に不自由なのだ。


僕の結論はこうだ。

自由と責任は、必ずセットになっている。

責任を自分で背負うからこそ、自由でいられるのだ。


そして僕にとっての自由を手に入れる手段とは、とにかく働くことだった。

働くことで経済的に自立し、精神的にも自立し、ちゃんと自分で責任をとれる土台をつくる。そうすれば、すべてを選ぶのは自分になるのだ。

p. 206: 消えることのなかった死への恐怖

もしあなたがポジティブになりたいというのなら、やるべきことはシンプルである。うじうじ悩んでいないで、働けばいい。


あらゆる時間を思考と行動で埋め尽くしていけば、ネガティブな思いが入り込む余地はなくなるのである。

バカと付き合うな」など他の本でも言及されている死への恐怖について書かれていた。

その後半の死への恐怖への対処方法が参考になった。

結論

何かと世間で目立つ存在だったホリエモンの半生や,考え方のルーツが書かれており,参考になった。とはいうものの,やはりホリエモンはホリエモンで自分は自分だ。ホリエモンのやり方や考え方がそのまま自分にもあっているとも限らない。

ただし,やはり人生は身の回りの環境に強く影響を受けるという印象を持った。自分で身の回りの人間や環境をコントロールしていきたいと強く感じた。

書評☆3: 簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第4版 | 試験範囲を網羅しており,淡白だが無難な1冊

概要

  • 書名: 簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第4版
  • 副題:
  • 著者: よせだ あつこ
  • 出版日: 2019-02-20
  • 読了日: 2019-11-01 Fri
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/16/

評価

日商簿記3級の対策テキスト&問題集となっている。

犬のパブロフとお兄さんとの4コマ漫画を交えながら簿記に必要な知識を解説している。

日商簿記3級の範囲をひとまず網羅しており,教材としては使えなくはない。問題は章ごとに章末に掲載されている。模擬試験問題などはないので,章の内容度理解に役立てる使い方になるだろう。

実際に,「簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第4版」と「改訂版 マンガでやさしくわかる日商簿記3級」を併用して,東京・日本商工会議所の2019-11-17 Sunの第153回試験を受験して合格できた。

ただ,個人的にはややいまいちだった。その理由は以下の3点だ。

  1. 漫画が淡白。
  2. 決算整理の説明が不十分。
  3. 問題不足。

1点目の漫画が淡白なところは好みの問題もあるかもしれない。せっかく漫画を取り入れているのに,内容がただひたすら機械的に説明されている印象があって,読んでいてあまり面白みがなかった。

そして教材としては2点目がいまいちだった。日商簿記の試験では,決算整理時の仕訳がけっこう重要だ。しかし,本書では個別の勘定科目の解説時に決算整理時の仕訳が書かれており,決算整理時の仕訳をまとめて確認できなかった。これが理解する上でけっこうやっかいで,この点は「改訂版 マンガでやさしくわかる日商簿記3級」でカバーした。

3点目の問題不足だが,付属している問題はあくまで内容理解のものだった。もちろん試験対策にはなるが,量がけっこう多く,実際の過去問題集に即してはいなさそうだった。やはり,別で問題集を入手して勉強したほうが効率的にに感じた。

結論

人気のシリーズのようで,実際悪くはないと感じた。

ただ,漫画のテイストや内容がやや自分には合わなかった。次回2級受験時の教材を選ぶときは他を当たるだろう。ただし,PDFで販売されているのは本書のシリーズくらいしかないので,急いでいるときはまた買うかもしれない。

TACや大原のような専門学校の出版物を当たるのがよいのかもしれない。

書評☆3: 改訂版 マンガでやさしくわかる日商簿記3級 | 試験範囲は網羅できているが解説とマンガの物語が消化不良

概要

  • 書名: 改訂版 マンガでやさしくわかる日商簿記3級
  • 副題:
  • 著者: 前田 信弘 and 絶牙
  • 出版日: 2016-04-10
  • 読了日: 2019-11-01 Fri
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/15/

評価

日商簿記検定試験3級の解説本となっている。

本書の特徴は,マンガ仕立てで試験範囲を解説しており,比較的気軽に学べるところだろう。

実際に,本書と簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第4版を併用して,東京・日本商工会議所の2019-11-17 Sunの第153回試験を受験して合格できた。

内容は試験範囲全体を扱えてはいる。決算整理のところなどはよかったのだが,試験でウェイトの高い試算表の解説がやや物足りなく感じた。

その他,マンガの物語が,中途半端なところで終わってしまった感があり,なんだかもやもやした。

Google Playの電子書籍で割引券を使って安く購入できたので,2017年か2018年のお正月に購入した。Google Playの電子書籍は表示がもたつきいまいちだった。

本書だけでは試験対策としては不十分であり,問題演習や,他書が欲しく感じた。

結論

日商簿記3級のマンガ仕立ての教材となっていた。マンガで解説されており,比較的気軽に学ぶことはできた。

しかし,Google Playの電子書籍の扱いや,内容自体がややいまいちな感じがあり,試験対策としては不十分に感じた。

かといって,簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第4版もややいまいちだったので,何か他によい教材に巡りあえればよかったなと試験が終わってから感じた。

なお,2019-02-28に改訂2版が出版されている。

こちらで改善されていることを願う。

書評☆3 Code Reading | 大量のOSSの実コードを引用した学術的要素高めのC言語ベースのコーディング技法解説

概要

  • 書名: Code Reading
  • 副題: オープンソースから学ぶソフトウェア開発技法
  • 著者: トップスタジオ and まつもと ゆきひろ and 平林 俊一 and 鵜飼 文敏
  • 出版日: 2004-06-10
  • 読了日: 2019-11-05 Tue
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/13/

評価

新しい仕事に取り掛かる際に,既存ソフトのソースコードを眺めて作りを理解する必要に迫られた。今までも似たような作業があり,コードリーディングの能力を高める必要があると思い,本書を読んだ。

内容としては,既存のOSS (Open Source Software) のソースコードを使って,実際にどのような手法が使われているかを解説したものだった。

既存OSSがC言語のものが多かったということで,C言語をベースとしたコーディング技法を解説していた。

流れとしては,目次通り以下の流れで解説されていた。

  1. 序論
  2. ループやifなどの制御構造
  3. Cのデータ型
  4. Cのデータ構造
  5. 制御フロー (上級編): 再帰,例外,並列,シグナル,マクロ
  6. プロジェクト
  7. コーディング規約
  8. ドキュメント
  9. アーキテクチャ
  10. コードリーディングのツール
  11. 総合的な例

個人的には,1-4章と10章が特に有益だった。Cのデータ型やデータ構造が実コードでどのように使われているのか解説されていた。

用途が不明だった,unionも多態の実現にstruct内で使われていることを知れた。また,コードリーディングでは,変数や関数 (シンボル) の定義元,関数の呼び出し元を探すことがよくある。ここの作業に時間がかかっていて,どうにかしたいなと日頃から感じていた。今まで知らなかったソフトを多数を知れてよかった。

ただ,その他の6-9章は内容がやや高度であったので,自分ではあまり理解できなかった。

本書の最大の特徴は,大量のOSSで実際に使われているコーディング技法を大量に引用しているところだろう。ここまで細かくコード片を引用し,その出所も行数まで掲載されているのには驚いた。かなり労力のかかっている本だと思った。

引用

p. 13: 1.2.2 ダイアグラム

デザインダイアグラムには、事実上の業界標準となっているUML (Unified Modeling Language) を採用しました。本書を準備する段階で、UMLダイアグラムを生成するオープンソースの宣言型言語 <[注5] (https://www.spinellis.gr/umlgraph/)> を開発すると都合が良いことがわかり、それに伴いGraphVizツールのコードベースにも少し改良を加えました。

UMLの生成言語としてはPlantUMLを知っていたが,この他にもUMLGraphというものを知れた。

p. 66: 3.1 ポインタ

Cプログラムのポインタには次の用法があります。

  • リンクデータ構造を作る
  • 動的に割り当てられたデータ構造を参照する
  • 参照呼び出しを実装する
  • 一連のデータ要素にアクセスする
  • 配列を引数として渡す
  • 関数を参照する
  • 別名で参照する
  • 文字列を表現する
  • システムメモリに直接アクセスする

C言語のポインタの用法がまとまっていた。

p. 69: 3.1.4 データ要素へのアクセス

表3.1 T型の要素を持つ配列をインデックスまたはポインタで操作する

  • 配列インデックスによるコード | ポインタによるコード
  • int i; | T *p;
  • i = 0 | p = aまたはp = &a[0]
  • a[i] | *p
  • a[i].f | p->f
  • i++ | p++
  • i += K | p += K
  • i == N | p == &a[N]またはp == a + N

Cのポインタと配列は混同しやすいので対応が整理されていてよかった。

p. 102: 4.1 ベクタ

配列の要素は、Cライブラリ関数のfwriteでファイルに保存されることがよくあります。

if (fwrite(buf, sizeof(char), n, fp) != n) {
    message("write() failed, don't know how", 0);
}

ファイルに保存された要素をメインメモリに読み込むときは、fread関数を使用します。

if (fread(buf, sizeof(char), n, fp) != n) {
    clean_up("read() failed, don't know why");
}

変数内のデータを簡易的に出力・入力する方法が書かれていた。内部表現をファイルに出力する都合,同一アーキテクチャのマシンでしか機能しないが,手っ取り早い方法として悪くない。

p. 389: 10.7 コードブラウザと美化ツール

次に、よく知られているオープンソースブラウザをいくつか取り上げ、簡単に紹介しておきます。

  • cscope <注21>。Unixベースで、テキストインターフェイスを持つソースコードブラウザ。Cの解析用に設計されているが、パーサの柔軟性が高く、C++やJavaでも有用である。cscopeは、Emacs、nvi、vimなどのエディタと統合できる
  • cbrowser <注22>。C/C++ソースコードの検索と閲覧のためのグラフィカルツールで、関数呼び出しの階層表示もできる。cscopeを土台とし、その上に組み立てられている
  • Source-Navigator <注23>。C、C++、Tcl、FORTRAN、COBOLを始め、その他いくつかの言語を扱えるブラウザ
  • LXRブラウザ <注24>。Webベースのブラウザで、大量のコードコレクションの相互参照ができる。

コードリーディングのためのツールをいろいろ紹介していた。ctagsやcscopeは知っていて,特にcscopeはたいへん便利で重宝していた。ここでさらに,cbrowserというツールやその他のコードブラウザの存在を知れてとても良かった。

cscopeは関数ツリーをたどることはできないのが惜しいなと思っていたのだが,cbrowserでは関数ツリーをたどることができるとのことで,これは是非試したいと思った。

結論

学術的な要素があり,やや難易度の高い部分があり,中級者向け以上の本となっている。また,C言語のコードをベースにしているので,最低限のC言語の知識を前提としていることに注意が必要だ。

学術的な要素があり,2004年とやや古い出版であるが,多数のOSSのベースとなっているC言語をベースに,データ型や制御構造など実際のコード片を引用しながらコードリーディングの技術を解説していて,よかった。

個人的には,コードリーディングのツールをいろいろ知れたのがとても良かった。このあたりのツールは作業効率に影響出るのだが,あまりネット上にも情報が出ていない。cscopeは知っていたが,cbrowserは知らなかった。

ただし,労力がかかっているのは分かるが,プレミアムブックスは値段が高すぎる。図書館でどうにか借りて済ませるのがよいだろう。

書評☆3 How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) | 新時代の知識労働者「スマート・クリエイティブ」のマネジメントが全て

概要

  • 書名: How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)
  • 副題: 私たちの働き方とマネジメント
  • 著者: エリック・シュミット and ジョナサン・ローゼンバーグ and アラン・イーグル
  • 出版日: 2017-09-01
  • 読了日: 2019-10-31 Thu
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/12/

評価

2014-10に日本経済新聞出版社から刊行された同名書を文庫化したものとなっている。

内容は,世界的な大企業となったGoogle社の成長の源泉となる働き方について,成功・成長している企業やベンチャーの発達過程をたどるように説明されている。

Googleの考え方,働き方について書かれた貴重な書籍となっている。

書籍内の至るところに,文献や研究の引用があり,ユーモアに富んだ説明があり,さすがというか知性を感じた。

本書全体を通して,「スマート・クリエイティブ」と呼んでいる新しい時代の知識労働者,いわゆる天才のマネジメント方法が書かれている。その中で,Google社の社内制度,戦略なども書かれている。

新しい時代では,プロダクトに根ざしたプラットフォーム戦略が重要というのも至るところで見かけた。

引用

p. 41-44 : スマート・クリエイティブ

ここで,本書全体と通して重要な「スマート・クリエイティブ」という新しい知識労働者の重要性を説いている。

一言でいうと天才なのだが,その最低限の特徴を抜粋すると以下となる。

  • ビジネスセンス
  • 専門知識
  • クリエイティブなエネルギー
  • 自発性

このスマート・クリエイティブを惹きつけ,彼らがとてつもない偉業を成し遂げるられるような環境をつくり出すことが,最高のプロダクトを生み出し続ける能力となる。

いってしまえば,本書はこのスマート・クリエイティブをうまくマネジメントするためにGoogleが試行錯誤して試した方法が書かれている。

p. 53: 楽しいプロジェクト

本書は成功・成長している企業やベンチャーの発達過程をたどるような構成になっている。この発達過程は、雪玉が坂道を転がっていくうちに勢いがつき、どんどん大きくなっていくような、永続的な好循環に発展できるものだ。一連のステップは、スマート・クリエイティブを惹きつけ、意欲を高めるために企業が実践可能なものだ。その一つひとつが企業を次のステップへと押し上げていく。各ステップは相互に依存し、お互いの上に成り立っている。またどのステップも決して終わることのない、ダイナミックなものだ。

ここではGoogleの現在の環境をつくり出したステップが説明されている。

  1. まずは最高のスマート・クリエイティブを惹きつける方法から始める。その出発点は企業文化だ。
  2. 戦略: 事業計画を支える戦略の柱こそが、事業計画そのものよりはるかに重要だとよくわかっている。
  3. 採用
  4. 合意形成の方法: 企業が成長を始めると、難しい判断をくださなければならない時期が来る。
  5. コミュニケーション: 企業の成長に伴って極めて重要に (かつ難しく) なる。
  6. イノベーション: プロダクトの優位性を維持することであり,「イノベーションの原始スープ」に満たされた環境をつくることが唯一の道なのだ。
  7. 従来型企業について
  8. 想像もできないことを想像する方法

特に明示されていないが,暗黙の内に代表・社長もスマート・クリエイティブでないと,こういう考え方はできないだろうと感じた。

p. 88: 独立採算にしない

独立採算制は、各事業部の実績を測るのに都合がよさそうだが、人々の行動を歪めるという好ましくない副作用が生じるリスクがある。つまり事業部の責任者は、自らの事業部の損益を会社全体の損益より重視するようになる。

大企業だと,事業部ごとに独立採算制をとっているところはある。この欠点がわかった。

結論

かのGoogle社の考え方を知れて参考にはなった。が,参考になっただけで,実際に何かに役立てるというのは難しいように感じた。

まず,スマート・クリエイティブを集めたり,関わること自体がそもそも難しい。そんなにどこにでもいるわけではない。

どちらかというと,自分がどうすればスマート・クリエイティブになれるのか,近づけるのか,そちらを知りたかった。

ここに書かれている内容は,スマート・クリエイティブである創業者達が,自分たちと同じようなスマート・クリエイティブ達を集めて,マネジメントするための方法が書かれている。そのため,スマート・クリエイティブでない人間が読んでもあまり意味ないかもしれない。

自分がスマート・クリエイティブに該当していて,スタートアップ企業などでスマート・クリエイティブのマネジメント方法を考える場合には役に立つだろう。ただし,それ以外のほとんどの人にとっては,絵空事になってしまうように感じた。

このような環境を作るには,代表・リーダーがまずスマート・クリエイティブである必要があり,そもそもスマート・クリエイティブ自体が多くないので,届かないだろう。

なお,今回は文庫本で読んだが,ページ数がやや多くて,ページをめくるのが面倒だったので,2014年の単行本のほうが読みやすいのではないかと思った。

書評☆3 学びを結果に変えるアウトプット大全 | アウトプットが大事というだけで当たり障りのない内容が多い

概要

  • 書名: 学びを結果に変えるアウトプット大全
  • 副題:
  • 著者: 樺沢 紫苑
  • 出版日: 2018-08-03
  • 読了日: 2019-10-29 Tue
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/11/

評価

過去に,「問題解決大全」「アイデア大全」「ライフハック大全」などのなんとか大全という本を何冊か読んでいた。

なんとか大全という本が目についていたので,その一種と思って興味を持って読んだ。図書館で借りたのだが,人気があるようで,予約してから半年くらいかかった。

内容は自称日本一アウトプットしている精神科医である著者が実践し,考えているアウトプット方法やアウトプットの重要性が書かれている。

最初にアウトプットの基本法則を説明し,その後は,話し方,ライティング,行動についてそれぞれアウトプットのコツが書かれていた。

ただし,個人的には内容は若干期待はずれだった。というのも,内容がけっこう一般的なことも多かったからだ。例えば,ポジティブなことを話したり書いたりする,とにかくやってみるなど。

もう少し,効果的で具体的なアウトプットについて期待していたので,どこかできいたようなことばかりで,肩透かしを食らった気分だった。

ただし,書籍のレイアウトはきれいに組版されていて,読みやすくはあった。

結論

著者が実践し,考えて,一部文献も引用しながら,アウトプットの原則,コツが書かれている。図解が至るところに散りばめられており,読みやすくはあった。

ただし,効果的なアウトプット方法について,期待していたのだが,自分の期待は超えていなかった。

この著者は有名らしいが,なんとなくマウンティングというかポジショントーク的な,自慢話的な感じが全体的に漂っていて,個人的にはいまいちだった。

あまりアウトプットについて意識していない人が読むと効果が高そうに感じた。

逆に,普段からアウトプットについて意識のある人は,既にどこかで見知ったようなことばかり書かれているので,物足りないかもしれない。

書評☆3 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください! | 図解では省略された小ネタもあり

概要

  • 書名: 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!
  • 副題:
  • 著者: 山崎元 and 大橋弘祐
  • 出版日: 2015-11-17
  • 読了日: 2019-10-25 Fri
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/10/

評価

読む順番が前後してしまったが,「図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」の元となった本だ。

内容自体は図解とほぼ同じだったので,書評はそちらに譲る。

違いとしては,こちらはないように関係しないような小ネタが掲載されているところだろう。例えば,著者の山崎 元は競馬好きで別の媒体で競馬の連載も担当していること,後記として本人はこういう上から目線で指導したりすることは決してないというところなどだ。

また,図解のほうでは当時は北朝鮮のミサイルなど安保状態が緊迫していたのもあり,時事的要素の言及があったが,こちらにはないなどだ。

後に図解として編集・出版されるだけあり,こちらもわかりやすくて悪くなかった。

結論

入手可能であれば,内容がほぼ同じである以上「図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」のほうが図解があり,コンパクトにまとまっているのでオススメだ。

ただし,内容はこちらの元となった本でも十分通用するので,図書館などこちらを読んでも差し支えはないと思った。

書評☆3 図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください! | 国債と投資信託を組み合わせた年率5 %を目指した手堅い投資解説

概要

  • 書名: 図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!
  • 副題:
  • 著者: 山崎 元 and 大橋 弘祐
  • 出版日: 2017-12-01
  • 読了日: 2019-10-24 Thu
  • 評価: ☆3
  • URL: https://book.senooken.jp/post/2019/12/09/

評価

金融資産運用について素人でもわかりやすいと評判だったので興味を持って読んだ。

2015-11-17に出版された「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」に図解を取り込み,内容を修正したものとなっている。

投資素人の大橋 弘佑と金融のプロの山崎 元の対話形式で,素人が手堅く投資する方法を解説している。

本書では国債とインデックスファンドの投資信託を組み合わせた投資を解説している。この観点で関係ある事項・疑問点に絞って解説しており,手短で分かりやすかった。

特に個人的には外貨預金がダメなことをしれたのがよかった。全体として,素人向けでわかりやすく書かれていてよかった。

ただし,例えばがん保険には絶対入るななどやや怪しい部分があった。医療費控除などをうまく活用すればアリではないかと思ったからだ。

概ね問題ないと思うが,100 %鵜呑みにはしないように注意が必要だと感じた。

引用

p. 20: 05 人類最大の発明「複利」とは?

「それと複利に関して一つ覚えておくといいいのが『72』の法則」

「なんでしょう、それは」

「72を『利率』で割ると『2倍になるまでにかかるおよその年数』が出る」

72の法則は初めて知った。5 %の利率だと72/5 = 14.4という感じで2倍になるまでのおよその時間が分かる。簡単に試算する方法として便利だと思った。

p. 22: 06 本当に国債は損しないんですか?

「それで、個人向け国債には固定金利型3年満期、固定金利型5年満期、変動金利型10年満期の3種類がある」

「どれを買えばいいんですか…」

「買うのは、満期が10年の『変動金利型10年満期』というもの。他の二つは固定金利だから、ずっと金利が一緒なんだけど、これは変動金利だから長期金利 (2017年10月時点では0.05%) に合わせて変動する」


「そう。しかも、この金融商品は金利の最低利率が0.05 %と決まっていて、これ以上下がることがないの。だから、今みたいに銀行の金利がほぼ0のときは相対的に得をする。それが『変動10年型』を選んだ理由のひとつ」

本書で推奨している投資の一つの変動金利型10年満期国債の推奨理由が説明されていた。

p. 32: 09 外貨預金は銀行のカモになる

「じゃあ外貨預金はどうなんですか?」

「絶対やらないほうがいい」

「どうしてですか?」

「まず手数料が恐ろしく高い。仮に米ドル1ドルが120円だったとするでしょう。手数料は普通の銀行だと1ドルにつき1円だから、1万ドル買ったら余計に1万円かかる。つまり120万円を買うのに121万円かかるということ。日本円に戻すときも1ドルにつき1円のコストがかかる。これは確実に損だし高い。銀行の利息と比べるとわかるでしょう。」


「つまり、『為替が上がるか、下がるか』と、『金利が高いか、安いか』をセットで考えて取引価格が決まっているから、買う前にどっちの通貨が得かは言えない。だから、手数料を別にしても、外貨預金をやるのはコイントスで『表』か『裏』にお金をかけるのとほぼ一緒」

なぜ外貨預金がダメなのかが解説されており,参考になった。

p. 40: 13 結局どの投資信託を買えばいいんですか?

「現時点で買うべき投資信託は、①上場インデックスファンドTOPIX (国内株式の投資信託) ②ニッセイ外国株式インデックスファンド (海外株式の投資信託)。まあ、この二つでいいね。リスクを負ってもいいと思うお金の中から、この国内と海外の二つの投資信託を半々ずつ買えばいい。」

どの投資信託が上がる下がるかは誰にもわからないので,手数料の安いものとして上記2個のインデックスファンドを推奨していた。

p. 46: 16 素人が手を出してもいい金融商品って何ですか?

「難しくないよ。アクティブファンドっていうのは、プロ (人) が株や債券を選んで買うやつ。インデックスファンドというのは、日経平均とかダウ工業平均とかニュースでやっている指標に連動する投資信託」

「…ちなみに、過去の実績を見るとプロが運用するアクティブファンドの平均がインデックスファンドに勝ったことはほとんどない。渡やこれを『運用業界の不都合な真実 (その1)』と呼んでいる」

投資信託で登場するインデックスファンドとアクティブファンドを解説していた。結局,インデックスファンドのほうが手数料も勝率も高いので,常にこちらを選ぶべきだと学んだ。

p. 27: インデックスファンドは国内と海外を半々ずつ買う

「いや一気に買ったほうがいい」

「一気に200万ですか……⁉」

「なぜかっていうと、毎月少しずつ買うと、分けて買う分、購入手数料 (イニシャルコスト) が余計にかかる。それに、仮に毎月5万円ずつ分散して投資したとすると、3年以上君のお金の一部を働かせずに寝かせておくことになる。投資額を決めたら速やかにその状態を作るほうが合理的なの」

ここは意外だった。ドル・コスト平均法で毎月少しずつ買い足すほうがリスクに強く,結果的に安いときにたくさん買い足すことができるからというのをよくきくからだ。まとまった資金が手元にある場合は購入手数料と運用額を増やすため,短い間隔で一気に購入するのが有利だと学んだ。しかし,それにしても2-3か月などでわけたほうがいいのではないかとも思ってしまった。

また,ここではインデックスファンドは国内と国外を半々ずつ買うことを推奨していたが,その理由は説明されていなかったのが物足りなかった。

結論

お金の素人が手持ちで遊ばせているお金を手堅く運用する方法を解説していた。ポイントを絞って解説しており,ごちゃごちゃとした細かいことが書かれておらず,わかりやすくてよかった。

その点細かいところが書かれていないという欠点はあるが,わかりやすくて手短だったのでこれはこれでよかった。

投資の最初の一冊として悪くなかった。