書評☆3 製品のモジュール化によるECMの最適化 | 実践 エンジニアリング・チェーン・マネジメント

概要

サムスン電子に2003年から3年間モジュラーデザインのコンサルティングを行い,現在のサムスン電子の天下の一力となっていた著者による,IoT時代の設計開発方法について解説している。

IoT時代においては,製品の製造と物流は新興国でも真似できる。そのため,新興国が簡単に真似できない上流の設計回あₕ苞生産準備領域,そして販売とアフターサービスで差を付ける必要がある。

これを念頭に,上流のECMで製品をプラットフォーム化・モジュール化する手順を具体的に解説している。

電化製品を念頭に,かなり具体的に製品の設計のしかたを解説していた驚いた。このように徹底的にやれば,たしかにうまくいきそうだと感じた。

今回は,IoTについて調べたくて読んだので自分のポジションとは合わなかった。経営や責任者などが読むと良いと思った。

参考

p. 16: 3 日本電機業界凋落の原因と勝機

設計の基本は、諸現地にモジュール数を積極的に適用して無駄な部品を生まないようにすることである。しかし日本ではこれらの規格を知って活用している設計者は10%もおらず、設計事に固有の諸現地を決定して固有の部品を生んでいる。

日本のモノづくりが弱くなってきたというより,周りの国が強くなってきた原因の一端を知れた。

p. 28: 5 トヨタ自動車のECM革新「TNGA」

図0-11は、1963年に発刊された元GM会長アルフレッド・スローンの著書『My Years General Motors』で公表されたフルライン・ポリシーである(日本語版、スローン(1967))


元トヨタ自販乗務・川原晃は、著書『競争力の本質』(1995年)で次のように語っている。

「同書は、トヨタが最も必要とするときに最も必要とすることを教えてくれた。」

製品のモデル展開をする上で重要な基本理論が書かれている本を知れた。

p. 71: 2 モジュラーデザインの適用

  • ISO 3-1973, Recommendation R3 (Preferred Numbers – Series of Preferred Numbers) / JIS Z 8601 標準数
  • ISO 10006: 1983, BUilding construction – Modular cordinaiton – Basic module / JIS A 0001 建築モジュール数
  • IEC 63 (Preferred number series for resistors and capacities) / JIS C 5063 抵抗器及びコンデンサの標準数列

この本を読んで一番の発見がモジュール数だった。モジュール数に準拠した設計にすれば,サイズの重複も乖離もなく製品のサイズ別ラインナップを用意できる。このような標準規格が存在することを知らなかった。このことを知れたのがとても大きい。

p. 199: 参考文献

  • アルフレッド・P・スローンJr.著、田中融二,狩野貞子、石川博友翻訳『GMとともに-世界最大企業の経営哲学と成長戦略』、ダイヤモンド社、1968年
  • 川原晃、『競争力の本質-日米自動車産業の50年』、ダイヤモンド社、1995

まとめ

より効率的な製品開発,展開をする上で重要なモジュール数という概念を知れたのが良かった。

ただし,一般的にこの本が必要なのは経営層や現場で指揮や計画をする人,コンサルタントなどだろう。読む人は限られると思うが,内容は良かった。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2018/10/17/

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